Acrobat 9登場、新機能「PDFポートフォリオ」、FLVビデオや3Dも統合

Acrobat 9は、複数ファイルをパッケージ化し、表紙やヘッダを付けてわかりやすくする「PDFポートフォリオ」が作成できる。FLVや3Dデータを組み込んだPDFを作成でき視覚効果もアップ。

» 2008年06月03日 09時37分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 アドビ システムズは6月3日、およそ1年半ぶりとなるAcrobatのメジャーアップデート「Acrobat 9」を発表した。これまで別版として用意していた3D機能を統合し、Flashムービー(FLV)の再生も可能にするなど視覚機能を強化した。3つのグレードを用意し、6月下旬からアドビストアで出荷を始める。また併せてAdobe Reader 9の無償ダウンロードを7月上旬から開始する。

製品 価格 Presenter同梱 FLV変換 3D変換編集 PDFポートフォリオ PDF最適化 PDFフォーム作成 複数ファイルの統合 PDF作成 閲覧、印刷、検索
Acrobat 9 Pro Extended 8万9565円
Acrobat 9 Pro 5万7540円 × × ×
Acrobat 9 Standard 3万6540円 × × × × ×
Adobe Reader 9 無償ダウンロード × × × × × × × ×
それぞれWindows XP以降に対応。Mac OS(10.4.11以降)には、Acrobat 9 ProとAdobe Reader 9のみ対応

 配布用の最終ファイルとして使われ始めたPDFだが、昨今アドビが推し進めているのが業務の途中でのPDF活用だ。今回のAcrobat 9でも、情報を分かりやすく伝えたり、ドキュメントを共有したり、円滑な共同作業を行うといった点に力点を置いている。

複数ファイルを1つにまとめて飾る「PDFポートフォリオ」

「結合」メニューの中から「PDFポートフォリオ」を作成できる

 Acrobat 9では新しく「PDFポートフォリオ」を作れるようになった。これまでも複数のドキュメントを1つのPDFファイルにまとめることはできたが、扉ページや見せ方のデザイン、順番なども細かく設定できる点が新しい点。

 中に含まれるファイルを実際に開くことなく、プレビューが可能。対応するアプリケーションがインストールされていなくても、Acrobat 9を使えば、PDFはもちろん、SWFやFLV、画像や各種Officeファイル(Office 2007含む)もプレビューが行える。

 Adobe Reader 9でももちろん開ける。またヘッダが表示されずFlashが再生されないなどの制限はあるが、以前のバージョンのReaderでも、閲覧とファイルの取り出しは可能だ。

PDFポートフォリオの例。PDFに変換することなく、複数のファイルをPDF内に格納でき、“表紙”を付けてまとめられる。ファイルを表示させる順番も指定可能

FLVネイティブ対応と3Dに対応

 Acrobat 9では、Flashムービー(FLV)にネイティブ対応し、Acrobat自体で再生可能になった。これまでも動画ファイルなどをPDFに埋め込むことはできたが、再生するには別途対応する動画プレーヤーソフトをインストールしている必要があった。

 Pro版、Pro Extended版では、FLVを埋め込んだPDFの作成が行える。さらにPro Extended版では、主な動画フォーマットをFLVに変換することも可能。動画に対して注釈を付けることもでき、その際は何秒目のフレームに対しての注釈なのかも記載される。ビデオの内容もレビューできるようになったわけだ。

 併せて、Pro Extended版ではAcrobat 3Dを統合しており、3DのCADデータも埋め込みが行える。

 Pro ExtendedではPowerPoint用のアドインツール「Adobe Presenter」も付属する。PowerPointにメニューが追加され、音声や動画をPowerPointに追加したり、さらに簡単なクイズを付け足すこともできる。そのままPDFに書き出すことも可能だ。

PDFフォームとレビュー機能の強化

 Acrobat 8の特徴でもあったフォーム作成機能も強化した。フォーム付きのPDFを作成して送付することで、簡単にアンケートを採ったり集計したりできる。

 Acrobat 9では、PDFのファイルを開き、自動的にフィールドを認識する新機能を搭載。アンケートフォームの作成が容易になった。また電子メール以外に、ファイルサーバにPDFを置いてアンケートに回答してもらうこともできる。現在のアンケート回答状況を一覧できるフォームトラッカー機能も用意した。

 緊急の共同作業用に、リアルタイムのコラボレーション機能も強化した。パブリックベータ機能としてサイト「Acrobat.com」をオープン。Acrobat 9(Adobe Reader 9)を使っているユーザー同士なら、サイトにログインすることで同じファイルを見ながらコメントを付け合ったり、チャットが可能になる。片方がPDFをスクロールさせると他方もスクロールするなど、同期しながらレビューが可能になった。

Acrobat.comには、インターネットを使ったオンラインのコラボレーションツールが多数用意されている。ファイルをアップロードしてオンライン上でPDF化することもできる

 なお、Mac OS向けにはAdobe Reader 9と、Acrobat 9 Proのみ提供。動画の変換に対応したPro Extendedは対応していない。「Mac版の予定はない。こうしたニーズが少ないため」とアドビは説明している。

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