「メタボリック」はいつの間にやら時代のキーワード。でも、そもそも「メタボリック」は何が体に悪くて、それに対してどのように対処すればいいのだろうか。今回はお腹まわりが気になる方は必読の、メタボ対策についてレクチャーする。
早いもので、ドクトル・ピノコの「プチ元気の薬」も8回目となりました。日々仕事に情熱を注ぐすべてのビジネスパーソンに、少しでも「プチ元気」になってもらえたらと思いながら始めたこのコラム。「○○しましょ」「××はダメよ」と偉そうなことを言っていても、そのほとんどにおいて自分が一番実践できていないことに気づきました。うーん、このコラムは自分自身への戒めだったりして……。
そして今日の話題もまた自戒シリーズ、最近話題の「メタボリックシンドローム」です。テレビや雑誌などマスコミの影響も大きく、今やこの言葉を聞いたことのない人の方が少ないといっても過言ではないかもしれません。
現在、日本で広く知られているメタボリックシンドロームの診断基準として、「腹囲が男性85センチ女性90センチ以上で、かつ(1)血清脂質(つまり中性脂肪またはHDLコレステロール)(2)血糖(3)血圧のうち2つ以上に問題がある場合」という説があります。ただし、現在、メタボリックシンドロームの診断基準はまさにさまざまな議論がなされているところで、国や組織などが違うとそれぞれ診断基準が違います。いくつもの説があったり、さまざまな異論もあったりするので、詳しいことは専門の方にお任せしちゃいましょ。
メタボを語る上でいつも話題になるのが「腹囲」ですが、これはなぜか? 肥満は脂肪の付き方の特徴で大きく「皮下脂肪型肥満」と「内臓脂肪型肥満」とに分けられますが、この内臓脂肪がどれだけあるかの指標として腹囲を見るというわけです。ちなみに腹囲は、腰のくびれの太さじゃなく、おへその高さで測ってね。まあ、この腹囲の基準にもいろいろと異論があるようで……今後また新たな基準が登場するかもしれません。
それはさておき、じゃあなんで内臓脂肪がそんなにいけないのか。すごく大まかにいうと、体に内臓脂肪がたまることによって起こるさまざまなメカニズムが、結果として動脈硬化を進行させてしまうと考えられているのです。
動脈は人間の体のいたるところに分布しているので、これによって狭心症や心筋梗塞(こうそく)、脳出血や脳梗塞(こうそく)など、命にかかわる重大な問題を引き起こす危険があるのです(プチ元気の薬の第7回目の内容ともつながります)。「そうなる前に気づいて予防しましょ〜」というのが、現在、政府が推進しているメタボ検診などですね。大きな病気が予防できれば医療費もグッと減るもんなあ。
余談ですが、診断基準の1つとなっている「腹囲」はデータを集めるのがとても難しいんです。例えば「3年前の腹囲はいくつでしたか?」と突然聞かれても、答えに詰まってしまいませんか? 3年前のスカートを掘り出してきたところで、私の場合、チャックが閉まらずに開けたままはいていたかもしれないし、正確な腹囲の証拠にはなりませんよね。医学的データを出すためにはそれなりの証拠が必要なため、過去の腹囲がきちんと数値として記録されていたりしないと正しいデータとして使えないこともあります。
そんなこともあって、医療者たちが試行錯誤しながらこの腹囲と病気の関係を必死に研究している最中でもあります。がんばれ、がんばれ。
ああ、細かい話はさておき、とにかく内臓脂肪が体に良くないといことは何となく分かります。ここからは対策について考えてみましょう。内臓脂肪を撃退する方法として、1つは食生活の改善が挙げられます。最も身近ですぐに実践できる予防法ですね。
当たり前のことですが、油っぽいものや甘いものなどの取りすぎはNG。時間がないからといってカップラーメンやファストフードばかり食べていたり、小腹がすいたからといって仕事しながら甘いものをつまんだりしちゃダメダメ(まさに今、こうして原稿を書きながらチキンナゲットとチョコをつまんでいる私はメタボまっしぐら)。
ちょうどここのところさまざまな食糧の値段も上がっていることだし、体にもお財布にも優しいのは昔の日本人が食べていたようなシンプルな和食ですね。お酒やカロリーも控えめに。もちろんタバコも良くありません。このあたりはメタボに限らず、って感じですね。
もう1つは適度な運動をすることです。忙しいビジネスパーソンにとっては、わざわざジムに行ったり公園を走ったりする時間はないかもしれませんが、せめてオフィスの中や駅なんかではエレベーターに乗らず階段を使うとか、休み時間に少しでも体を動かすとか、ちょっとした心がけでも毎日やれば「ちりも積もれば」ってやつですわ。
幸いなことに、内臓脂肪は皮下脂肪に比べて「つきやすく燃えやすい」といわれています。自分自身の心がけと地道な努力で内臓脂肪を減らすことは十分期待できるんです。メタボリックシンドロームの細かい診断基準なんかは今後微妙に変わってくる可能性もありますが、バランスのとれた食生活や規則正しい生活、適度な運動などが体に良いということはいつの時代も真実なはず。自分の明るい老後のためにも、医療費削減のためにも、一緒にメタボ対策を始めましょう!
と、今回も自戒だらけの内容でした。明日からはホウレン草のおひたしでもつまみながら原稿を書くことにしよー。今日だけは、もう少しこのチキンナゲットをつまんでいいかしら……。
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