「不安だからとっておく」のはいけないのだシゴトハッカーズ(2/2 ページ)

» 2008年08月21日 15時40分 公開
[大橋悦夫、佐々木正悟,ITmedia]
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「不安だからとっておく」だけならとっておかない

 賛否両論はあると思います。また、「意志の力」や「心がけ」で問題を解決しようとするのは、筆者(佐々木)のスタイルに合っていないという自覚もあります。しかし、「メモを死蔵させない」ために、筆者は究極的には「心がけ」で対処しています。この問題は、思った以上に難しいのです。

 どういう事かというと、メモを取るとき、「使途は不明だけど、忘れるのが怖いから、とりあえず取っておく」という「だけ」であれば、メモしないようにしています。これが「メモを死蔵させない」ための、筆者の基本的な「心がけ」です。

 本当は「メモ」だけではありません。最近は、たとえば「見えなくなると不安だから、とりあえずデスクトップに保存する」とか、「書いておかないと不安だから(ほかにもタスクリストはあるけれど)、とりあえず付せんにやることを書いておく」といったことを、決してやらないように心がけています。

 というのも、部屋を乱雑にしてしまったり、タスクリストの機能低下を招いたり、デスクトップをアイコンだらけにしてしまったり、机の周りをメモの断片だらけにしてしまったり、読みもしない本をAmazonからたくさん注文してしまうすべての根源は、筆者の場合いつでも、「不安だからとりあえず」という心理が発端になっているからです。

 もちろんこれらの不安は、まっとうな不安だと思っています。タスクをやり忘れたり、有益な情報を獲得し損ねたり、せっかくダウンロードしたアプリケーションを埋没させてしまうことは、誰だって避けたいものです。避けたいので、不安心理が働くのです。これはやむを得ないでしょう。

 しかし、「不安心理」が唯一のモチベーションである場合、不安でさえなくなれば、その行動は実行されないことになりがちです。「不安だから」というだけでメモをとると、メモをとった時点でかなりの程度「忘れる不安」は解消されるため、そのメモはそのまま死蔵されるわけです。

 メモをとる理由や目的は、どんなものであってもいいのです。プライベートな目的もあって、完全に人それぞれの自由です。しかし「死蔵させたくない」のであれば、筆者は「不安だけが理由」の場合には、メモしないことも試みると、よいと思います。

筆者:大橋悦夫

大橋
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1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタルハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』、近著に『成功ハックス』がある。

筆者:佐々木正悟

佐々木
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心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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