仕事か家庭か無気力か。夢か現実か。自分の中には葛藤するさまざまな自分がいます。どの自分が本当? 一番自分らしい? それを知るため、まず“全員”の言い分を洗い出しました。次にやることとは?
北京オリンピックの柔道100キロ超級で優勝した石井慧(いしい・さとし)選手のメンタルコーチングを2年半、続けてきました。北京オリンピック開催中に行った1セッションをビジネスパーソンの場合に置き換え、具体的実践法を解説していきます。
【中編】では、それぞれの立場で腹の底から思っていることを言い切りました。言い切れたと感じたら、新しい紙を出して、この3者が自分の味方だったとしたら、何と言っているかを書き出してみます。この場合は、発言を「and(そして)」でつないでいくのがコツです。サンプルの続きを見ていきましょう。
自分の才能が認められて、しかも後輩たちからも頼りにされている。やっぱり格好いい仕事をしようよ
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(そして)やっぱり自分のやりがいは家族(または趣味のカメラ)なんだから、その時間もちゃんと取ろう
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(そして)ぼーっとする時間も必要だよね。それで充電されるし、癒されることがあるので、何もしない時間も大事にしよう
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(そして)何もしない時間で充電されたら、短時間で効率のいい仕事ができるな
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(そして)短時間で効率のいい仕事ができたとしたら、本当に中身の濃い時間を家族と過ごすことができるな
(そして)ゆとりのある気持ちで、もっといい写真が撮れるかもしれない
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(そして)そんなふうに家族といい時間を過ごせて(いい写真が撮れて)、いい仕事ができたとしたら、ぼーっとする時間もすごく満たされる時間になるよね
このような感じで、発言を「そして」でつないでいってください。そして、一通りつないだ後に、「仕事を楽しくしなきゃの私」を言い換えるとしたら、どんな自分か、タイトルを付け直します。たとえば、「“できる”を発揮する私」。プライベートも充実させたい私は、「“やりがい”を持っている私」。休みたい私は「“ゆとり”のある私」というように、書き直します。
そして、それぞれの自分に応援してもらいます。もし、可能だったら3週間ほど、朝の5分か10分でもいいので、それぞれに「そして」でつないだ対話を書いてみてください。そうすることで、それぞれからいいメッセージを受け取ります。例えば――。
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