リフレッシュだけに使える「1カ月休暇」――ノバレーゼ「働きやすい」を形に イマドキの福利厚生(1/2 ページ)

「幸せを演出する仕事だから、いつも笑顔でいてほしい」。ブライダル事業を展開するノバレーゼでは、育児や介護など家族のためでなく、社員自身がリフレッシュするための大型休暇や記念日休暇制度などを導入。コストを超える大きな効果があるという。

» 2008年11月19日 12時06分 公開
[SOS総務]
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 イマドキの福利厚生を紹介している今特集。1カ月以上の休暇制度には、介護や出産、育児など、家族のための休暇制度を設けている企業も多い。こうしたやむをえない事情からではなく、純粋に自分のために、しかも3年ごとに1カ月も使える休暇制度を導入している会社がノバレーゼだ。そのほかのユニークな福利厚生制度と合わせて見ていこう。

人生の門出を祝う従業員に、いつも幸せを感じてほしい

 ノバレーゼは、婚礼プロデュース、婚礼衣装、レストランの3つを柱に、総合的なブライダルサービス事業を展開。全国各地に支店やゲストハウスを持ち、2000年の創立以来、売り上げも施設も従業員も着実に増えている。

 2007年3月の従業員数は、非正社員を含めて400人を超えて、その約7割が女性。平均年齢は28.7歳という若さだ(※従業員数は2008年9月現在で613人、平均年齢は2007年12月現在で29.4歳)。

 ノバレーゼではブライダルフェアなどでの対応から成約、挙式まで、すべての過程を1人のウェディングプランナーが担当。それにより信頼関係を築き、お客さまの要望を細部まで把握するスタイルを採っている。

 「幸せを演出する仕事ですから、従業員にはいつも笑顔でいてほしい。そのためにも1人1人が幸せであってほしいと考えています。福利厚生制度も、それを基盤に考えています」と同社広報室は言う。この思いが機動力となり、いくつものユニークなアイデアを実施している。

 例えば月初にエリアごとに行うミーティングでは、成績優秀者を表彰。その時に渡す賞金は、専用のオリジナルデザインの福袋に入れている。袋には手書きのメッセージを添えるのが恒例。ちょっとしたことだが、従業員の苦労を理解し、ねぎらいたいという企業側の気持ちが伝わってくる。

 新人が初受注した時などは、全社にお知らせのメールが届く。それを受け取った従業員たちがそこにお祝いのメッセージを書き込んでいく習慣も、すっかり根付いている。従業員が自分たちで行う、手作りの福利厚生制度といえるかもしれない。「毎日のように、何かしらのお祝いメールが届くので楽しいですよ。みんなの話題にもなるし、雰囲気が高まります」

 また年に1度は、全従業員が一堂に集まる1泊2日の総会を行う。表彰式やバーベキュー、スポーツ大会に加え、チームごとに参加する仮装大会などを行い、毎年大いに盛り上がっている。若い層が多いことを意識し、サークル感覚で楽しみ、一体感や結束力を高める狙いがあるという。

大切な日を満喫できる「記念日休暇」

 2007年の総会では、社長から新しい制度導入の発表もあった。「2007年4月から開始した『記念日休暇制度』です。お客さまの大切な日を演出する従業員には、自分の特別な日も大切にしてほしい。それが小さな幸せにもつながると思います。そんな気持ちと遊び心を込めて新設しました」

 勤務期間が入社3カ月以上なら、正社員、準社員、契約アルバイトといった雇用形態を問わず、誰もが年に1日、各自が申告した記念日に休暇が取れるのだ。記念日の内容は各自に任せている。結婚やプロポーズの記念日から、恋人、友達や家族、ペットとの思い出の日など、今後、さまざまな記念日休暇が登場しそうだ。

 発案者は広報室。役員会議で提案したところ、社長が「おもしろい、始めよう」と即決し、すぐ実現したという。当初は、ブライダル業界らしくロマンチックに「恋人休暇」という名称で提案した。しかし恋人と限定すると、休みを申請するときに照れくさい、恋人がいない人はどうするかなどが考えられるので、枠を広げたのだ。

 「従業員の反響は上々。すでに休みを計画している人もいます。お客さまからもおもしろいと好意的に見ていただいています」

 この制度は、従業員を慰労したりES(Employee Satisfaction、従業員満足度)を高めると同時に、同業他社との差別化戦略でもある。リクルート対策でも、魅力的な制度だ。センスを感じさせる1日の休暇は、多くの効果をもたらしそうだ。

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