「断られたくない」気持ちが成果を遠ざける――ポイントは1つだけ研修に行ってこい!(1/2 ページ)

訪問件数、アポイント件数、メール件数などなど、営業活動の件数だけ見ていると誰よりも頑張っている営業担当者なのに、なぜか成果が出ていない。そんな人に伝えたい心理面のアプローチを紹介します。

» 2010年09月07日 16時00分 公開
[原田由美子,Business Media 誠]

 訪問件数、アポイント件数、メール件数などなど、営業活動の件数だけ見ていると誰よりも頑張っている営業担当者なのに、なぜか成果が出ていない……。人一倍努力しているのに、成果が出ていない部下や後輩はいないでしょうか。今回は、努力を実らせるためのコツをご紹介します。

努力と成果が比例しないのはなぜ?

 成果が上がらないのは「商談スキルが不足しているのではないか」「提案力が弱いのではないか」という仮説から、営業研修を依頼されることが多いです。商談のノウハウを知らない若手や、配置転換などで新しく営業の仕事をスタートした人であれば、まずは一通りの仕事の流れを理解することが必要なのは事実。ところが事情を聞いてみると、経験も長い先輩社員も成果が出ていない。過去には同様の研修を受講しているにもかかわらず、です。

 本当に「商談スキル」や「提案力」の問題なのでしょうか。営業に同行したり、日頃の訪問活動の記録を見たりしますと、確かに活動量が多いにもかかわらず、成果が出ていない。仕事ぶりは、朝早くから夜遅くまで、誰よりも頑張っています。活動内容も、事前の推測とは違い、提案もできているし、お客様の状況もヒアリングできている。人間関係も良好で、普通であれば売り上げにつながっていてもおかしくはありません。

 しかし、成果が上がらない……。一体どうしたことでしょうか。

 ある時「成果が上がらない」と言われる営業担当者の商談場面に同行しました。事前に把握していた内容に間違いはありません。お客様も信頼し、商談もスムーズ。もちろん提案もしています。全く問題はないのです。お客様も「上司のOKが出れば、進めたい」と考えているようでした。

 しかし、それからしばらくして「あの日の商談どうだった?」と聞くと……。成果が出ていないのです。8割がたいけそうな様子だっただけに、結果を聞いたわたしは驚きました。なぜ成果が出なかったのでしょうか?

知っているのにできない

 驚いたわたしは、商談場面をもう一度振り返りました。すると、成果が出ない理由として思いあたる点が1つありました。それは、商談の最後です。

 通常は、一通り提案が終わった後、YES/NOを4つのポイントで明確にします。

  1. 提案概要
  2. お客様の意向を確認
  3. 今後の意志決定がどのように行われるのかを確認
  4. 回答はいつごろもらえるかを確認

 というプロセスを経て商談をクローズします。ところがその営業担当者は、こうしたプロセスを全く行わずに「それではよろしくお願いします」と締めくくっていたのです。

 これでは、よほどその商品やサービスの必要性を感じていない限り、お客様が話を進めることはないでしょう。お客様からすれば「今日も有益な情報をもらえた。必要なタイミングがあったら、連絡をすればいいや」あるいは「営業さんから連絡がくるまで保留」ということで終わります。それでは先に進まないのです。

 先に進めるためには、先程の1〜4の手順でお客様の反応を確認するしかありません。お客様がどのように考えているのか、お客様が検討するためにほかにすることがないか――など、するべきことが明確になるのです。

 しかし、同行した営業担当者は、このプロセスを知っているはずでした。なのに、なぜできなかったのでしょうか。

「断られたくない」という心理

 営業担当者と話してみると、その理由が見えてきました。実は、人から「嫌われたくない」という気持ちが根底にあったといいます。意外なことに「断られる」=「嫌われる」と思いこんでいました。「断られる(嫌われる)」と「2度と商談できない」と思いこみ、断られない(嫌われない)ようにしていたのです。そのため、訪問や提案はできても、結論をもらうことができずにいました。

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