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» 2012年02月03日 11時00分 公開

冬の節電DIY:「暖房はエアコンが圧倒的に省エネ」を自宅実験で実証 (2/3)

[奥川浩彦,Business Media 誠]

暖房はエアコンが圧倒的に省エネ

 4つの実験の結果を表にすると、

暖房方法 安定室温(下段) 消費電力(30分間)
セラミックファンヒーター 20度 0.49キロワットアワー
エアコン 設定温度19度 20.8度 0.17キロワットアワー
エアコン 設定温度21度 21.8度 0.24キロワットアワー
エアコン 設定温度28度 24.8度 0.56キロワットアワー

 セラミックファンヒーター(電気ストーブ)に対し、エアコンは圧倒的にエネルギー効率がよいことが分かる。エアコンは電気代が高いというイメージがあるが、実際にはかなり省エネな暖房器具だと言えよう。その理由はヒートポンプという仕組みだ。

 ヒートポンプは熱を発するのではなく、熱を運ぶ装置だ。エアコンの冷房は室内の熱を室内機で吸収し、室外機から放出する。暖房はその逆で屋外の熱を室外機で吸収し、室内機から部屋に放出する。冷蔵庫は庫内の熱を側面、背面などから放出し庫内の温度を下げる。

 簡単にヒートポンプの仕組みを学習してみよう。まずは圧縮と膨張。気体を圧縮すると温度は上がる。自転車の空気入れのように空気を圧縮するとタイヤに入れた空気や、空気入れ自体が熱くなる現象だ。逆に気体が膨張すると温度が下がる。埃を吹き飛ばすエアーダスターを使用するとスプレー缶が急速に冷える現象である。

 次は熱の移動。熱は熱いところから冷たいところへ移動するのはご存じだろう。この圧縮、膨張、熱の移動を使うのがヒートポンプだ。

ヒートポンプの仕組み

 エアコンの室内機と室外機はパイプでつながっていて、その中の冷媒が熱を運ぶ。暖房の場合、膨張によりマイナス10度に冷やされた冷媒が室外機で熱交換を行い0度に暖められる。仮に外気温が2度でも冷媒がそれより低い温度であれば屋外の熱を吸収することが可能だ。このとき室外機から気温より冷たい風が放出される。

 屋外の熱を吸収し、冷媒がマイナス10度から0度に暖められたとしよう。この冷媒を圧縮すると温度は一気に60度まで上昇する。これを室内機まで移動しエアコン(室内機)で熱交換を行い室内に熱を放出する。室内が暖かくなる分冷媒の温度は下がり、35度と生暖かくなった冷媒が室外機に戻る。戻ってきた冷媒を膨張させてマイナス10度まで冷やし、再び室外機で暖める。これの繰り返しだ。冷房の場合は膨張と圧縮を逆にした動作を行う。

 電気で電熱線から熱を出すのではなく、膨張、圧縮により冷媒の温度を変化させて室内外の熱を移動するのがエアコンの仕組みだ。気温により効率は変化するが、ヒートポンプを稼働させるエネルギーに対し、運ぶ熱の方が大きくなるため、電気を使う他の暖房方式より古い機種でも3倍くらい最新の機種では7倍も効率がよくなる。

 弱点は外気温が低くなると効率が落ち、寒冷地になると室外機の凍結を避けるためのヒーターが必要となる。そのため寒冷地ではエアコンより石油ファンヒーター等を使うことが多い。室外機が雪に埋もれるような場所では使用することもできない。

 実際の効率は外気温に左右されるが、エネルギー効率(省エネ)の目安となる数値がAPF(Anual Performance Factor:通年エネルギー消費効率)だ。以前はCOP(Coefficient Of Performance:エネルギー消費効率)という方式で冷暖房能力と消費電力の比率を表記していたが、現在は年間の冷暖房に必要な冷暖房能力総和と消費電力量の比率で表記し、より実際に使用状態に近くなったといわれている。COPは一定条件で運ぶことができる熱量と、それに要する電力で以下の式で求められる。

  • 暖房COP=暖房能力/消費電力
  • 冷房COP=冷房能力/消費電力
  • 冷暖房平均COP=(冷房COP+暖房COP)/2

 (※)暖房能力は外気温7度、室内温度20度とした場合の、室内の空気に加える単位時間当たりの熱量
(※)冷房能力は外気温35℃、室内温度27℃とした場合の、室内の空気から除去する単位時間当たりの熱量

 APFはかなり複雑で、冷房は6月2日から9月21日、暖房は10月28日から4月14日の東京の南向きの木造住宅で、6時から24時に冷房を27度、暖房を20度の設定したときの冷暖房能力総和を消費電力量で割った値となる。

  • APF=1年間に必要な冷暖房能力総和/期間消費電力量

 冷暖房の期間も長く、時間も早朝から深夜までとし実際の使用条件に近いとされている。車の燃費が渋滞の市街地を主に走る人と、高速道路の移動が主な人では同じ車でも異なるように、エアコンも外気温、設定温度、使用する時間などが個々に異なるので、効率の高くなるケースもあれば低くなるケースもある。

 エアコン以外の電気による暖房器具は電気を熱に変換して暖房している。電気ストーブ系、ホットカーペット、コタツのエネルギー効率は1だが、エアコンは機種、環境によって3〜7倍となることがある。では実測値で確かめてみよう。セラミックファンヒーターと最も実測温度が近いエアコンの設定温度19度の電力を比べると以下のようになる。

暖房方法 安定室温(下段) 消費電力(30分間) 比率
セラミックファンヒーター 20度 0.49キロワットアワー 2.9倍
エアコン 設定温度19度 20.8度 0.17キロワットアワー 1倍

 使用したエアコンはマンション購入時15年前に設置した製品で、エネルギー効率は3.64と書いてある。性能劣化や測定条件の差異を考慮すれば約3倍という数値はまずまずで、エアコンの省エネ性を十分表していると考えられる。

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