「上司なしの職場」から考える――ボスは本当に必要か未来の人事を見てみよう(1/3 ページ)

上司は必要なのか不要なのか――。英文の記事を読んでいると、最近リーダー論や優秀なマネージャー・上司論をとりあげる論考が多くなってきています。上司の役割を見直す時なのかもしれません。

» 2012年08月27日 16時20分 公開
[調祐介,Business Media 誠]
誠ブログ

 上司は必要なのか不要なのか――。英文の記事を読んでいると、最近リーダー論や優秀なマネージャー・上司論をとりあげる論考が多くなってきているようです。

 クレイア・コンサルティングの調(しらべ)です、こんにちは。本日はそのあたりの事情を、いくつかの記事を紹介しながら見ていくことにします。

上司なしの職場

 もともと発端は、Wall Street Journal(WSJ)に掲載されたこの記事でした。

 この記事はウォール・ストリート・ジャーナル 日本版にも掲載されたので、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。

 アメリカのビデオゲーム開発・販売会社のバルブ(Valve)が、上司を設置しないマネジメントを導入しているという記事でした。日ごろ上司に悩まされている人には賛同する人も多いのではないかと推察しますが、保守的な人事業界や学界ではこれに疑問を呈する声が多く挙がっています。

「上司なし」は理想? 現実は……

 人事系総合サイトのTLNTのJohn Hollon編集長の論考を見てみると、

The Bossless Office Trend: Don't Be Surprised If It Doesn't Last Long(上司不在の職場というトレンド:そんなに続かないから驚かなくて大丈夫)

 All of this sounds wonderful in the same way that communism sounds wonderful if you simply remove the human element from the philosophy. Problem is, humans don't usually make group decisions all that well. Someone -- anyone -- needs to be the final arbiter if you ever want to get something decided and keep things moving ahead.

 これらの(WSJに掲載された)論考は共産主義が耳障りが良かったのと同じく、哲学から人間的要素をぱっと取り去ることができれば可能になる代物だ。問題は、人間が通常はそれほど簡単に集団での意思決定をしないということにある。何かについて意思決定して前に進もうと思う時には、誰でもいいから誰かしらが最終決定者となる必要があるのだ。

 もちろんこの種のマネジメント手法が全く適用不可能と言っているのではなく、いくつかの企業では適用できるだろうけれども、一般的に広く適用すべきアイデアではない――というところでしょうか。

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