働くことの目的の1つは、間違いなく「お金」だろう。どんなに楽しい仕事でも、無収入ではやっていられない。
フリーランスで働こうと考えているのなら、お金については一度真剣に考えてほしい。会社員は仕事をしていれば金額の大小はあれど必ず収入が得られるが、このことが普通になっていると、どうもお金については軽く考えがちである。
まず当然だが、仕事がなければ収入もない。これが、フリーランスの原則だ。会社員なら暇な時期があっても給与は変わらないかもしれないが、フリーランスではそうはいかない。フリーランスは、完全なる成果報酬なのだ。
中には既にお客さんのいる状態からフリーランスになる人もいるが、全員がそうではないだろう。そういう私も、資金ゼロ&クライアントゼロの状態で独立。年収見込みは「0円」だった。すぐにでも働かなければ、来月から生活ができないかもしれない状態だ。
またお客さんがいたとしても、いつまでその関係が続くかなんて分からない。すぐに切れてしまうかもしれないし、長く続くかもしれない。それは自分の力次第でもあるし、残念ながらいくら頑張っても届かない内部事情で、関係が切れてしまうことだってあるのだ。
「暫くは、貯金があるから」なんて言っている人がいるが、これを前提にしてしまうと、たいていは上手くいかない。なぜなら、安心材料があることで危機感が生まれず、真剣になれないのだ。また貯金があったとしても、なくなったらどうするのか。仕事は何が起こるか分からないのだから、貯金を全て使い果たすなんてことは避けるべきだろう。
毎月、どの程度の収入があれば生活していけるのか。最低でも、そのラインまでは仕事で稼がなければいけない。そうでないと、先に述べたように少しずつ貯金を使い果たしていってしまうことになる。
家賃や光熱費、食費、仕事に必要な諸費用。あるいは交際費や娯楽費だって、たまには必要だろう。細かい費用まで確認して、まずは「最低限必要な収入」を見直す。
ここで1つ、落とし穴がある。
フリーランスは個人で働いているわけなので、収入の定義を安易に考えがちである。つまり、「売上―経費=収入」と考えているのだ。確かにこの構造はあながち間違ってはいないが、ここで見落とすのが「税金」「健康保険」「年金」である。試しに調べてみれば分かるが、これらは思っている以上に大きな負担となってくる。会社員だと勝手に会社が差し引いてくれるので、つい見落としがちなのだ。
こうしたことを踏まえて、最低でも得るべき収入を考える。そして、自分が行おうとしているビジネスに置換えたときに、いったいどのくらいの仕事をこなす必要があるのかに落とし込んでいって欲しい。もっと言えば、その仕事量を「獲得する」ことがどのくらいの難易度なのかも。
100のチョコならすぐに売れるかもしれないが、多くの収入を得るにはたくさん売らなければいけない。逆に1万円のチョコならすぐ大きな収入に繋がるが、なかなか売れるものではない。
こうした「お金」を軸にしたプランニングも、フリーランスには必要になってくる。本を読んだり周囲に相談するのは自由だが、最終的に決定し、動くのは自分だけということを覚えておいてもらいたい。
会社員は、もちろん会社という仕事場がある。多くの社員は毎朝決まった社屋に出社して、そこで仕事に取り組んでいる。フリーランスの場合は、仕事場などない。大きく分ければ、以下のいずれかから選択して仕事環境を「作る」必要がある。
私の場合は、1と4の融合型だ。自宅の一室をオフィススペースにしていて、基本的な仕事はそこで行う。しかし外出することもあるので、その際にはカフェやファミリーレストランなんかで仕事をしている。
いずれのスタイルも、一長一短だ。自宅ならテレビやマンガなど誘惑も多くて仕事に集中できないかもしれないし、オフィスを借りたり買うのにはお金が掛かる。間借りするのは、もしかしたら同居者とのトラブルが起きる煩わしさがあるかもしれない。
最近多いのは、ノマドスタイルだろう。特に1人暮らしの方は、自宅もあまり広くないということでこの働き方を選ぶ。ノートパソコンを片手にカフェへ行き、コーヒーでも飲みながら仕事をする姿は、誰でも一度は見たことがあるのではないか。
一見すると自由で素晴らしい働き方だが、ノマドスタイルにだってデメリットはある。例えばモバイルルーターを持たず公衆無線LANスポットだけを利用しているのであれば、毎回無線LAN環境のある「場所探し」が必要になる。行きつけのカフェがあったって、常に空席があるとは限らない。
また大勢の人が出入りする環境なので、パソコン画面から情報を見られる恐れもある。となれば、パソコンにはセキュリティ対策が必要ということになるだろう。たまにパソコンを席に置いたままでトイレに行っている姿を見かけるが、あれは危険きわまりない行為だ。
人それぞれ働き方にも好き嫌いはあるし、仕事内容によっても向き不向きがある。そのあめ、どんな働き方が正解なのかなんて答えはないのだが、いずれにしても自分で最良のスタイルを見つけ、作り上げていくことが必要なのだ。
「働き方に慣れず、なかなか仕事が進まない」
なんていう声は、特にフリーランスやノマドで働き始めたばかりの人から良く聞こえてくる。完全成果報酬のフリーランスにとって、これは死活問題なのだ。
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