世の中は説教ばかりする人が存在します。相手のことを思って説教しているならいいものの、単にストレス解消の手段として説教する人もいます。そんな人にはどう対応すればいいのでしょうか。
苦手な上司やクレーマーのようなお客など、世の中には思わずキレてしまいたくなる“嫌な人”たちが存在します。しかし、そんな嫌な人たちに感情任せにキレても問題の解決は望めません。この連載では、どこにもいる嫌な人を対象とした、スマートで賢いキレ方を提案します。
この記事は10月5日に発売された文響社の『出世するキレ方』(楠元博丈著)から抜粋、再編集したものです。
先川さんは高校の同級生の南くん(仮名)の上司にあたる人です。
南くんが大手不動産会社に入社して半年が過ぎた頃、お茶をする機会がありました。
高校時代の明朗快活な面影は消え、疲れ切った様子の彼から相談を受けました。上司の先川さんから毎日のように叱られ続けていることが、とてもキツイと言うのです。
入社したてのころから「お前は何にも知らねえな。何にも知らねえやつとは話にならんから話したくない」と言われ、しばらくすると「いつになったら仕事できるようになるんだ? 人間としての価値がねえな」とまで言われ始めたりと、なにかにつけ説教をされ、なじられるのだそうです。
朝早く仕事に出て行き、夜遅くまで勤務して帰るという生活で、ろくにテレビを見る時間もなかった彼に、ある朝先川さんはこんな質問をしました。
「おい南、今日のサッカー日本代表戦て何時から?」
「ち、ちょっと分からないですね」と答えると、先川さんは間髪入れず言いました。
「お前はほんっっっとに何にも知らねえな!」
別の日に歩いて外回りをしている時はこんなことも言われたそうです。
「お前の歩き方気持ち悪いな! 手は前後に振れ! 殺すぞ!?」
手を若干左右に振りながら歩く癖のあった南くんは、その日からフォームの徹底改造に乗り出したそうです。
そしてある日、ついに耳を疑うようなひと言が飛び出しました。
働きづめで肉体的にも精神的にも限界を超えていたにもかかわらず、南くんが無遅刻無欠勤を続けていると知って、先川さんは言いました。
「マジしぶてえな! ゴキブリか、貴様!」
頑張ってることさえ非難されるとは……。南くんが私に助けを求めようと決めた瞬間でした。
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