生産性に関する理論は間違い?3分LifeHacking

一般的に、生産性に関する理論はいくつかあります。今回はそれが実際の職場で有効かどうかを1つずつ考えてみたいと思います。

» 2012年12月14日 17時08分 公開
[調祐介,Business Media 誠]
誠ブログ

 クレイア・コンサルティングの調です。本日は、生産性に関する記事をご紹介します。

 Seven Productivity Myths, Debunked by Science(and Common Sense)
「科学(や常識)によってデタラメと認定された7つの生産性向上策」

 

その1:何を達成するにも早起きが必要?

 「何を達成するにも早起きしなければならない」とは、生物学者のクリストファー・ランドラー氏が最初に提唱したそうです。2年前にもHarvard Business Review上でこの見解を擁護しているようですが、実は上記のようなことを言っているわけではなく、「早起きした人はより主体性があり、1日中、より多くのことを成し遂げようとする」ということだけ。それよりも、

 生産的かつ創造的になるには、結局は自分自身に合った時間帯に働くことこそが重要

 とのこと。その意味では労働時間のフレックス制なども、生産性の観点では利点があるとも言えますね。

その2:スランプこそが力になる

 スランプを脱却するには、そこに集中して道を開いていくことが肝要、なんてことはないようです。この研究は40年も前に出されたものだそうですが、

 意志の力や自制心なんてものは限りがあるので、使うとしても適切な場合のみ

 ということで「むやみやたらと困難にぶち当たってもしょうがない」と。休憩するなり、いったん会社を出るなり、別の仕事をしたりするなどの息抜きをすることが重要です。

 とはいえ余裕がなくなり、何かとせちがらい昨今、そんな余裕がある職場はそれほどないかもしれませんが……。

その3:複数のモニターを使用することで生産性が上がる、もしくは下がる

 元も子もない回答になりますが、

 複数のディスプレイを使うことで生産性が上がるかどうかは、ひとえに仕事の内容とそのやり方しだい

 なのだそうです。特定の製品と結びつく話は、眉つばもの(今でいうステマですね)と疑ってかかる必要があるのかもしれません。私のノートPCの前にも別のディスプレイが1つありますが、結局はPC上でのAlt/Tabキーでの画面切り替えコマンドで済ませています。

その4:インターネットなどによる情報過多は、われわれを愚かにしているのでさっさとネットワークを切って仕事を成し遂げるべきだ

 よくある説は「情報の取得と吸収の仕方が変わった結果、より学ばなくなり、批判的に考えるかわりに検索で済ませ、データの有効性より量を重視するようになった」といったもの。しかし実際は、

 インターネット自体が人間を愚かたらしめているわけではなく、情報過多はフィルターの設定を失敗したことによるもの

 だそうです。それよりも、今影響が心配されているのは、

 必要となる研究データについて記憶をしておこうとするのではなく、都度検索しようとすること

 にあり、実際に必要となるデータを探すときに、そこには取るに足らない大量の情報がくっついてくることについては、生産性向上の邪魔になっているようす。いずれにせよ、「個人の情報に対するマネジメント力の問題」とのことでした。

その5:家やカフェでは仕事をきちんと終わらせられない?

 もちろん在宅勤務やノマドワークなど、日本でも議論がなされている部分ではありますが、中国を舞台としたスタンフォード大学での調査でも明らかになったように、

 何週間か働いた後においても、家で働いた社員については、明確な生産性の向上の兆候が見られた

 とのこと。また、カフェのような多少さわがしい場所のほうが、より生産性が高まる、という最新の研究結果も参照されています。あくまでほどほどの喧騒(けんそう)が好ましい、とのことですけども。

その6:メールはソートして振り分けるのが最強?

 もちろんGmailが推奨するように「全て検索で」という人も今は多いと思いますが、まとめると、

 メールの量自体をまず減らすために、不要なものは受信解除し、ソートと振り分けについてはできる限り自動化する。自分の意思で判断すべきものは最小限にし、あとはアーカイブ化するか削除する。そして後は検索で。

 結局は、これが最も生産性を高める方法なのだそうです。

その7:○○こそが全てを解決してくれる

 1ともやや関連しますが、

 他の多くのことと同様、生産性は万能なアプローチを兼ね備えているものではない。極めて個人的なもので、この記事を含むすべてのアドバイスは、そのような(個人的な)ものとみなして捉えるべき

 というのが、総じての結論でした。

 これが、会社や組織における働き方(あるいは働かせ方)というトピックになるとやや複雑になってきます。同じ目的を持ち、似たようなマインドセットで働く人々に対しては同様の働き方を推奨することは理にかなっているとは言えますが、そうだとしても個人の性格や特性、能力の種類やレベルはさまざまであり、必ずしも万能薬のように効くワークスタイルや制度などというものは、存在しないと言っていいかと思います。

 その中で自分の組織にあった最適な枠組みを、可能な限り個別のニーズに応えながら構築し、その後は運用の中で丁寧にカスタマイズをかけていくという、なんとも粘り強い取り組みこそが、最終的に自社の生産性を向上させる道なのかもしれません。

 ご一読感謝!

※この記事は、誠ブログ「未来の人事を見てみよう:生産性に関する理論は間違いだらけ」より転載、編集しています。

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