これらは、「自分のしたこと」が「きちんと成果として誰かの役に立っている」ことを実感した例である。手伝いをしているだけの黒子ではなく、名前が明記され、製作したものが誰かの手で使われており、自分が世の中に貢献していることを具体的に体感できた。そんな時、とてもうれしいと感じるわけだ。
こと新入社員の場合、どうしても下働きのような仕事、作業が多くなりがちで、自分の成果が本番で、現場で使われるのはなかなか経験できないかもしれない。だからこそ、上記の回答を寄せた彼ら、彼女らは自分の成果を自分の目で確認できうれしく感じたのだろう。
仕事の性質もまちまちなので、誰にでもそういう経験をさせることは難しいかもしれない。しかし上司や先輩ができることは、もし、新人の成し遂げた仕事が顧客や社内の誰かに役立つものとなっているのであれば、それを伝えたり、見せたりすることである。「ほら、ここで使われているよ」「お客様先に一緒に行き、現場で稼働している様子を見せてもらってこよう」などといい、実感させることはできるだろう。
私も新人時代、「会社ってなんて楽しいところなんだ!」と思ったことがある。その「楽しい」の意味するところは、学生時代に出会うことのなかった年齢層だけでなく、さまざまなタイプの人がいることも含めてである。
上記回答も同じようなことを言っている。年長者からすると、若手と距離感があるように思うものだが、若手は案外年長者との会話、交流を楽しんでいるようである。ベテランならベテランなりのものの見方をきたんなく開示すればよいのではないだろうか。自分たちがなにげなく語った言葉を若手は心に深く刻んでいることもあるはずだ。
これはドキドキする答えだ。自分がOJT担当だったとき果たして後輩はそんな風に思ってくれていただろうか、と考えると自信がない。「怖い先輩だった」というのは今でもよく言われるが、目標とか尊敬というのが当てはまったのだろうか。
後輩は涼しい顔をしながら、当然ながら先輩の様子を良く見ていて、リスペクトできる存在かどうか冷静に見極めているのだ。よく「背中を見られている」という言い方をするが、本当にそうなのである。後輩に注意していることを自分自身はちゃんとできているか、いま一度、われとわが身を振り返ってみる必要はある。
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