ついうっかり「すみません」を連発していませんか? 感謝の言葉に置き換えよう田中淳子の人間関係に効く“サプリ”(2/2 ページ)

» 2013年07月04日 10時00分 公開
[田中淳子,Business Media 誠]
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 謝るべき場面ではないのに、やたらと「すみません」を使ってしまうことは多い。特に、そこに上下関係があると、上司に気づかうためか、部下がなんども「すみません」と言ってしまうこともある。

 例えば、こんな会話を耳にしたことはないだろうか。

 「すみません、報告書仕上げたので、見ていただけますか?」

 「分かった。夕方までに見ておくけど、それで大丈夫?」

 「はい、すみません」

 「謝らなくていいよ」

 「あ、すみません」

 「だから、謝らなくていいから」(笑いながら)

 「は、はい、すみません」

 「……(苦笑)」

 上司や先輩としても、責めてなどおらず、詫びてほしい場面でもないのに、こう「すみません」を連発されると気になってしかたない。

 この会話、こういう風に言い換えられるはずだ。

 「恐れ入りますが、報告書を仕上げたので、見ていただけますか?」

 「分かった。夕方までに見ておくけど、それで大丈夫?」

 「はい、お願いします」

 あるいは、

 「お手数ですが、報告書を見ていただけますか?」

 「夕方までで大丈夫?」

 「はい、夕方までに見ていただけると助かります。ありがとうございます」

 自信がない、上司が怖い、突っ込まれたくない……さまざまな理由で、つい「すみません」を使ってしまうのかもしれないが、「すみません」なしでも会話は成り立つ。

Photo あまりに「すみません」を連発すると、相手が気に病んでしまう場合もある(写真はイメージです)

 できれば、「すみません」は、相手に詫びる必要があるときに限定して使い、それ以外の場面では、「ありがとう」「恐れ入ります」「お手数ですが」「助かります」「感謝します」など他の表現に置き換えたいところだ。「すみません」はどうしても、ネガティブなニュアンスが漂ってしまう。「ありがとうございます」「助かります」「お願いします」といった肯定的な表現を使うほうが、互いの気分に好影響を及ぼすのではないかと思う。

 講師として大勢の前に立つことが多い私は、セミナーなどの休憩時間後、全体が少しざわついているような場面で、受講者に対してつい「すみませ〜ん、始めますよぉ〜」と呼びかけてしまうことがあった。こういう場合も、「皆さ〜ん、始めますよぉ〜」「はい、始めますよぉ〜」でよいはずだ。

 私は、詫びる、謝るという場面でない限り、極力「すみません」を使わないよう意識するようになり、言い回しに工夫をするようになった。

 お礼を言うべき場面であれば、「すみません」ではなく、「ありがとうございます」と言う。例えば、落ちたものを拾ってくれた人がいたら、「ありがとうございます!」といって受け取る。大きな荷物を抱えている時、ドアを開けて待ってくれる人がいれば、「すみません」と言わず、「恐れ入ります」とか「助かります」と礼を述べる。エレベーターを降りる際、「開」ボタンを押してくれる人がいれば、先に降りる際、「ありがとうございます」と軽く会釈をする。いずれも多くの人が「すみません」と言ってしまう場面だ。

 毎日何気なく口にしてしまう「すみません」を少し減らすようにする。肯定的な表現、前向きな言い回しをしていると、「すみません」と言いそうになる自分の自信のなさも克服できるかもしれない。どのような状況でも、誰に対してでもつい「すみません」と“謝って”しまう癖がある人は、「他の表現」に一つでも置き換えてみることから始めてみてはどうだろう。

著者プロフィール:田中淳子

田中淳子

 グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー。

 1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタル イクイップメントを経て、96年より現職。IT業界をはじめさまざまな業界の新入社員から管理職層まで延べ3万人以上の人材育成に携わり27年。2003年からは特に企業のOJT制度支援に注力している。日経BP社「日経ITプロフェッショナル」「日経SYSTEMS」「日経コンピュータ」「ITpro」などで、若手育成やコミュニケーションに関するコラムを約10年間連載。


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