「永久ベンチャー」で有り続ける――南場智子氏、だからこそDeNAは強い企業家に聞く:南場智子氏【前編】(2/3 ページ)

» 2013年07月30日 15時50分 公開
[まつもとあつし,Business Media 誠]
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コミュニティーからコマース、ソーシャルへ――変化のわけ

まつもと その背景にはソーシャルゲームによって、DeNA自体の方向性が変わったということはあるのでしょうか?

南場 私たちは自分たちのアイデンティティーはソーシャルゲーム会社ではなく、インターネットサービス会社だと考えています。ソーシャルの分野にはインターネットサービスの良さが生きています。だからわれわれはその分野にも参入できたんです。

まつもと 確かに、ネットオークションからEコマース、そしてアバターサービスへと本書につづられたモバゲーに至る道のりを追うとそう捉えることができますね。ただ、サービスをコミュニティーかコマースか、という具合に色分けすると随分異なる領域に挑戦し続けていたようにも感じました。

DeNAの中心事業と周辺環境の変遷(『不格好経営―チームDeNAの挑戦』からの抜粋)
DeNA 周辺
1999年 株式会社DeNA設立。オークションサイト「ビッダーズ」(現:DeNAショッピング)を開始 Yahoo!、楽天が先行してオークションサービスを開始
2001年 Yahoo!オークションが有料化
2002年 ショッピング専用サイト「ビッダーズショッピング」開設  
2004年 携帯向けオークションサイト「モバオク」開始 グリー株式会社設立、mixi公開
2005年 マザーズ上場、モバオクを子会社化 mixi会員数が200万人突破
2006年 携帯向けゲームサイト「モバゲータウン」開始、ペイジェントを設立、中国に現地法人 グリーKDDIと資本提携、mixi東証マザーズ上場
2007年 東証一部に市場変更 グリー「釣り★スタ」公開、mixi会員数1000万人突破
2008年 米国現地法人設立、新潟カスタマーサポートセンター開設 グリー東証マザーズに上場
2009年 「怪盗ロワイヤル」開始 グリー釣りゲームの類似性を巡りDeNAを提訴
2010年 モバゲーをオープンプラットフォーム化、エブリスタを設立、Yahoo!モバゲーを開始、米国ngmocoを子会社化、スマホ版「モバゲータウン」を開始、公正取引委員会が立ち入り検査 グリーもオープンプラットフォーム化、スマホ版「GREE」リリース
2011年 モバゲータウンを「Mobage」に改称、守安功氏が社長就任、横浜ベイスターズを子会社化 グリー北米をはじめ世界各国に拠点開設、KDDIと共にDeNAを提訴
2012年 「一般社団法人ソーシャルゲーム協会(JASGA)」を発足 消費者庁がコンプガチャを景表法違反とする見解を発表
2013年 陸上チーム創設 釣りゲー訴訟はグリー敗訴、KDDIと起こした訴訟は和解へ、グリーの世界各拠点の閉鎖・縮小が発表される
DeNA 2012年度 決算説明会資料より

南場 ネットオークション「ビッダーズ(現:DeNAショッピング)」でも、出品者、入札者、落札者が相互にやりとりをする場=コミュニティーとしての価値に重きを置いてました。そこからEコマースに領域が広がると、お店とお客さんという関係が中心となり、その分コミュニティーという要素は薄くなりましたが、コミュニティーかコマースか、という単純な二者択一ではなかったと思います。

 ただ私は、それはとても自然なことだと思っています。サービスである以上、ユーザーに向けたものですから、ユーザーの変化に応じてサービス自体の形も変わっていくべきだからです。ユーザーの進化を追いかけ先取りし、事業のサバイバルや発展を考えた結果がいまのDeNAの姿です。

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