シェアハウスから始める「共有とコミュニティー」の新しい働き方ボクの不安が「働く力」に変わるとき(1/2 ページ)

新潟市にあるシェアハウス「ギークハウス新潟」には、収入と仕事の楽しさのバランスを取っている新しい働き方をしている人々がいました。

» 2014年01月09日 11時30分 公開
[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),Business Media 誠]

竹内義晴(たけうち ・よしはる)

 1971年生まれ。経営者、教師、コンサルタント、コーチ、カウンセラーなど、リーダー層を支えるビジネスコーチ。人材育成コンサルタント。

 自身がプレッシャーの多い職場で精神的に追い込まれる中、リーダーを任される。人や組織を育てるには、マネジメントの手法だけでは太刀打ちできないことを痛感。優れたリーダーたちが使う卓越したコミュニケーションスキルを学び、実践。チームの変革に成功する。実践の経験から、難しいコミュニケーションスキルを誰もが現場ですぐに使えるようにした独自の手法「トライアングルコミュニケーションモデル」を考案。実践的なコミュニケーション方法を伝えるコミュニケーショントレーナー。

 米国NLP協会認定NLPトレーナー、NPO法人しごとのみらい理事長。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』(こう書房)、『イラッとしたときのあたまとこころの整理術―仕事に負けない自分の作り方』(ベストブック)がある。

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 先日、新潟市にある「ギークハウス新潟」というシェアハウスに宿泊してきました。ギークハウス新潟を知ったのは、住人でフリーランスのWebプランナー西村治久さんとインターネットを通じて知り合いになったからです。

ギークハウス新潟での生活の様子

 「ギーク(Geek)」とは、もともとサブカルチャーの愛好家(いわゆるオタクのような)のことを指す言葉でしたが、現在では「深い専門知識を持っている」という意味合いで、特にネット界隈(かいわい)で使われています。つまりギークハウス新潟は、「ITが好きな人たちが寝食を共にしている家」。

 家賃は1〜2万円で光熱費は住人で分割。シャワーやトイレは共用。食事はその場にいる住人たちで自炊し、皆で食べているそうです。推測ですが、普通に生活をするのなら月に5万円ぐらいあれば十分なのでないでしょうか。

「食べられないから」ではなく、「クリエイトしたいから」

西村治久さん

 ギークハウス新潟には20〜40代の7人が住んでいます。職業は西村さんのようなフリーランスのWebプランナーやデザイナー、IT業界のサラリーマン、会社を辞めたばかりの方、フリーターなど。

 「ギークな人たちについていけるだろうか?」――IT業界出身の筆者も、訪問する前は多少の不安がありました。また誤解を恐れずに正直な気持ちをいうと、「食べられないから共同で生活しているのかな。もしそうだとしたら、どんな会話をしたらいいのだろう?」とも思っていました。

 フリーランスで始めた仕事で食べられるようになるまで、「好きだから」「やりたいから」「格好よさそうだから」のような一辺倒で上手く行けばいいのですが、実際には山あり谷ありです。筆者もサラリーマンをやめて個人事業主から起業した口ですが、なかなか大変でした。また、会社を辞めた人は単純に収入がないでしょうし、非正規雇用の形態で働く人のことをフリーターと呼ぶのです。

 けれども、実際の印象は大きく違いました。確かに中には働いていない人もいるのですが、悲壮感のようなものがまるで感じられません。それよりも「プログラマーになりたい」「○○の事業に取り組みたい」など、それぞれの人がそれぞれの夢を持ち、活動していたのです。

 住人の方々に話を聞いていたら分かりました。「そうか、この人たちはクリエイターなんだ」と。分かりやすいのは、サラリーマンの方です。サラリーマンならそれなりに収入があるでしょうから、お金目的だけならここに住む必要がありません。そう、「ここに住みたいから住んでいる」のです。

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