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» 2014年01月09日 11時30分 公開

シェアハウスから始める「共有とコミュニティー」の新しい働き方ボクの不安が「働く力」に変わるとき(2/2 ページ)

[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),Business Media 誠]
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他の住人からクリエイティブな影響を受ける

 また、「いいな」と思ったのは、住人同士が影響を与えあっていることです。

 例えば前出の西村さんは、前職のWebデザイナーの経験を基にソーシャルメディア活用のプロデュースや、コワーキングスペースの運営、各種イベントの開催などをしています。今後は起業支援や「住み開き」という住居の一部をオープンにした拠点作りをしていくそうです。

 そのような西村さんの活動を見たり、話をしたりしている住人の皆さんは自然と影響を受けているはずです。実際、ある方は「自分もゲストハウスをやりたい」と、全国のゲストハウスを訪問して研究を重ねています。

 ITスキルに長けている人も多いので、プログラマーなどのIT関係のクリエイターを目指している人にはよい刺激になっているでしょう。

 このように、住人同士がよい影響を与え合っているように感じました。

「お金やモノを所有する豊かさ」から「共有とコミュニティーによる豊かさ」へ

 私たちはお金のため、豊かな生活のために毎日一生懸命働いています。けれども、収入はそこそこあるけれど、やりたくない仕事にやる気を失っていたり、それでもやる気を出そうと無理にがんばったり、あまりの会社側のひどい扱いに自分の意思と良心を放棄したり、多い残業や精神的なプレッシャーで体調を崩したりしている人もいます。

 それでも「もっと豊かになりたい」と思うのは、私たちの豊かさの定義が「お金やモノをたくさん持つこと」という消費文化が背景にあるからなのかもしれません。

 今回、ギークハウス新潟で感じた豊かさは、お金やモノの所有によるものではありませんでした。資源の共有によって過不足ない生活をしながら、将来の夢ややりたいことのために時間を使い、コミュニティーによって安らぎ、共に影響を与え合う。そんな、「共有とコミュニティーによる豊かさ」を感じました。それはとても自然で、無理がありませんでした。

 もちろん、「そんな不安定な生活で将来大丈夫なのか?」「そもそも、家族がいたらそんな生活できないだろう」という意見もあるでしょう。実際、筆者にも家族がいますが、家族でシェアハウスに住むのは難しいでしょうし、子どもがいれば教育にもそれなりのお金が必要です。

 しかし「所有する」から「共有する」へ、「個人」から「コミュニティー」への「豊かさの価値観のシフト」はできるのではないかと思っています。できるだけ消費せずに生活すると「あっ、このぐらいあれば十分なんだ」という感覚がつかめます。また、いきなり会社を辞めたりシェアハウスに入居したりしなくても、現在の生活を維持しながら、「あっ、この人の考え方っていいな」「あっ、この組織の在り方ってすばらしいな」というコミュニティーに属したり、協力したりすることで得られる豊かさなら体験できるでしょう。

 「不安定な社会だから安定した仕事に就きたい」「不安定な時代だからお金を貯めておきたい」という働き方ももちろんあります。しかし、そもそも社会や時代は変化するもの(言い換えれば、不安定なもの)です。それならば、「このぐらいあれば十分生活できる」というラインをシェアすることで確保しておいて、あとはやりたい仕事にチャレンジするのも1つの選択肢としてアリだなと思います。

 「共有とコミュニティーによる豊かさ」によって、収入と仕事の楽しさのバランスを保った働き方を提案しているギークハウス新潟のみなさんの、これからのご活躍か楽しみです。

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