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» 2014年03月27日 11時00分 公開

田中淳子の人間関係に効く“サプリ”:たった2分でその場の空気があたたまる方法――会議やプレゼンでお試しあれ (2/2)

[田中淳子,Business Media 誠]
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その場の空気がふっとゆるむ、アイスブレークネタ

 最も無難なのは、「天候」の話題だ。「週末は寒かったですね」「今日はいい天気ですね」など、天候の話は誰もが反応しやすい。「季節」もいい。「入学式のシーズンですね」「新入社員らしい人を駅でたくさん見かけますね」といったものもよく使う。

 相手の“何か”を話題にするという手もある。例えば「オフィスが駅から近くていいですね」といった所在地に関するもの、「テレビCM見ましたよ」「今朝、新聞に記事が掲載されていましたね」といった相手企業の商品やサービスに関するもの。もちろん、よいニュース限定だ。

 多少親しい間柄であれば、「御嬢さんの卒業式、無事終わりましたか?」などと相手が以前話していたことを話題にするのもよいだろう。

 こうした話をすると、自分や会社に関心を持ってくれているのだなあと思えるので、相手も応じやすい。

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 以前、製薬会社のMR(医薬情報担当者)向けにコミュニケーションの研修を担当したときのこと。MRは忙しい医師をつかまえて、短時間で用件を話さねばならないため、「アイスブレークはしたことがない」とベテランのMRは話してくれた。そういう事情もあるだろうと思いつつ、「短くても相手が反応しそうな話題をアイスブレークとして振ってみると、意外と喜ばれることもあるものですよ」といくつかの例を紹介した。

 その後、MRたちは、医師との会話にアイスブレークを取り入れてみたそうだ。後日、その成果を聞き、ほぉと感心してしまった。

 MRのAさんは、個人病院の待合室で医師の外来診察が終わるのを待っている間、以前訪問した際には見かけなかったポスターを発見した。つぶさに読んで、医師がやってきた時、「先生、あのポスター、面白いですね」と話を向けた。すると、その医師は、相好を崩してこう言ったそうだ。「あれに気づいてくれましたか。僕が作ったんですよ。患者さんに情報を提供したくて」。これをきっかけに、この日の会話は非常にスムーズに進んだという。

 Bさんは、大学病院の廊下で医師を待っている際、目の前のドアに掲げられたプレートに目が留まった。「○○検査室」。なんだろう? と疑問に思っているところに医師がやってきた。

 「先生、この○○検査室って何ですか?」

 「お、いいところに気づいてくれたね。見ていく?」

 そこは、この医師が中心となって導入した、日本にはまだ少ない検査機器を設置した特別な部屋だったのだ。医師は上機嫌で案内してくれたそうだ。

 時間がないから、忙しいから、よく知った間柄だから――といった理由で、いきなり本題に入ってしまうことは多い。しかし、ちょっとした話題を持ち出すことで、よりよい関係を築けることもあるのだ。

 これは、部下と上司との関係でも同じである。例えば上司と部下とで目標管理の面談を1時間という枠で予定しているとしよう。こんな時には時間が限られていることもあって、いきなり今期の振り返りから話を始めたくなるだろう。ここで冒頭の1〜2分だけでも、「最近、仕事どう? 困っていることはない?」「プロジェクトの状況はどんな感じ?」といった“アイスブレーク”を入れることで、部下は話しやすくなる。

 アイスブレークが向かないのは「トラブル対応時」だ。そんな暇があったら、とにかく直してくれ、と相手が思っているような場面でのんびりと天候の話をするのはNGだからだ。

 アイスアイスブレークは平時に限る。話し始めに取り入れることで、相手との距離がぐっと近くなるはずである。

著者プロフィール:田中淳子

田中淳子

 グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー。

 1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタル イクイップメントを経て、96年より現職。IT業界をはじめさまざまな業界の新入社員から管理職層まで延べ3万人以上の人材育成に携わり27年。2003年からは特に企業のOJT制度支援に注力している。日経BP社「日経ITプロフェッショナル」「日経SYSTEMS」「日経コンピュータ」「ITpro」などで、若手育成やコミュニケーションに関するコラムを約10年間連載。


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