自分主演の“人生劇場”、ちゃんとプロデュースできてますか?今日から自分プロデュース!

正解がない、先が見えない、なのに動きは早い。そんなカオスな世界でもしっかりと“自分”を見失わずに進んでいきたい。そう思う人は多いはず。とはいえ、己の長所や短所を自覚している人は少ないもの。まずは自分のことをもっと深く知るところから始めましょう。

» 2015年01月09日 11時00分 公開
[イデリアBusiness Media 誠]
Photo

 「自分は何のために仕事をしているんだろう?」――と、考えたことはありませんか。社会に出て仕事をしていれば、何度もこの問いにぶつかるのが普通だと思います。

 若いころに“シューカツ”を経験した多くの人は、毎日のように「自分は何が得意か」「何を実現したいのか」と質問され、答えていた時期があったはず。ところが就職してからは、目の前の仕事で精一杯。いつの間にか後輩に仕事を教える立場になり、仕事の難度も上がって悪戦苦闘。周りの都合に振り回され、忙しさは増していくばかり……。そんな“カオス”な環境に浸っているうちに、自分の目標を忘れてしまうというのはよく聞く話です。

 今や仕事だけではなく、世界全体が“カオス化”しているといっても過言ではありません。世の中やビジネスの動きが早くなり、明確な答えもなく先が見えない。そんな状況を表す「VUCAワールド」という言葉を最近よく聞くようになりました。

 不安定(Volatility)で不確実性(Uncertainty)が高く、複雑(Complexity)かつあいまい(Ambiguity)な世界。元々は、冷戦後のアメリカ海軍で使われた言葉と言われていますが、最近のビジネス環境をよく言い表しているといえるでしょう。

 社長だって上司だって「ムリゲーだよ」と思いつつ進む場面も増えているし、優秀なプレーヤーとして手堅く仕事をしているつもりが、いつの間にか時代に取り残されている、なんてこともありうる世の中です。

“カオス化”する世界の中で、コントロール可能なのは「自分」だけ?

Photo

 そんな時代の中で、コントロール可能なものはあります。それは“自分の人生”です。

 人は他人に人生相談をしても、結局最後は自分で決めて行動するもの。自分の行動には、自分が責任を持たざるを得ないからです。いくら人のアドバイスを聞いても、うれしいことも辛いことも自分に返ってくる。そういう意味では、自らの人生の意志はコントロールが可能と言えるでしょう。

 実際、私は友人から「世の中、こんなに不安定なものだらけなんだから、自分くらい良く知って安定しようよ」と言われてはっとしたこともありました。人は誰でも自分の人生はコントロールできる。そういう意味では、誰もが「自分の人生のリーダーだ」と言えます。

 では、私たちはその操縦桿を握る自分自身についてどれだけ理解できているのでしょうか。就職活動でさんざん“自己分析”をやらされて以降、自分についてどれだけ理解を深めてきたでしょうか。

 他人の強みや陥りやすいワナ(弱み)は見えているのに、自分の強みやワナには無自覚なことはままあるもの。「『自分を客観的に見ることが大事』と言われたってどうしたらいいか分からない」という声もよく聞きます。

 そこで、この連載「今日から自分プロデュース!」では「何のために仕事してるんだっけ?」と感じているビジネスパーソンたちに向け、自分自身の強みやワナを理解し、より自分らしさを生かして仕事をする手助けとなるツールを紹介していきます。

「自分らしさ」をよりよく使えるきっかけを

Photo

 ここで言う“自分らしさ”というのは、必ずしも長所だけとは限りません。どのような特性にもオモテとウラがあります。どんな薬にも、効用があれば副作用もありうるのと同じこと。人間の性格や仕事ぶりに当てはめれば、行動派だけれど熟考するのが苦手、仕事は正確だけどもスピードが遅くなりがちといった感じでしょうか。

 仮にこの副作用がイヤだったとしても薬を飲まなければいい、というものでもありません。となれば、副作用を自覚しながら自分が得意なことを生かしていくのが現実的でしょう。両者をブレンドすることで、自分の力を最大限に発揮することができます。自分らしさを生かし、“自分遣い”の達人になるのです。

 次回以降は、なぜ自分自身の強みやワナを理解する必要があるかをさらに掘り下げていきます。そのなかで、自分の強みやワナを構造的に理解するためのツールや、具体的な活用方法の紹介をしていく予定です。紹介に加えて職場でよくありそうな事例も取り上げます。

 私は「IDELEA」という野村総合研究所の社内ベンチャーチームに所属しており、エグゼクティブ層に向けたコーチングと社内組織変革の支援をしています。IDELEAは「Ideal Leader」(理想のリーダー)の略称で、理想のリーダーを増やすことを目指したチームです。普段の業務の中で、私やほかのメンバーが実践していることも紹介します。

 この連載で紹介する自己理解のツールや実践例を通じて、少しでも自分プロデュースを意識し、プロデュース能力を高めてもらえれば幸いです。一度きりしかない自分主演の“人生劇場”。この舞台をもっと楽しく、面白いものにしていきませんか?

著者プロフィール:伊藤利江子

伊藤利江子

 2007年、野村総合研究所入社。公共部門のコンサルティング部署に5年間所属し、企業の人材マネジメントに関する調査等、人材関連の調査業務に従事する。その中で、NPO支援をしていたイデリアに出会いコーチングに興味を持つ。2012年よりイデリア事業のメンバーとして、エグゼクティブコーチングと組織変革のサポートを行っている。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ