―― そのマネージャーの「ソースはオレ」スタンスって、彼の上司である課長の前でも変わらないんですか?
桜井さん 恐ろしいことに、上に対しても変わらないんですよ(笑)。課長に対しても、「俺は今まで、こういうルールで業務をこなしてきた。だからこれが正しい」というようなことを平気で言うんです。「自分の方が歳上で業務歴も長い」って意識がどこかにあるんだと思います。まあ、当たり前のように「昔と今は違う」ことの方が多いんですが。
―― それについては、さすがに課長から「昔のルールと今のルールは違うでしょ」って指摘されますよね?
桜井さん もちろんです。彼は下が何を言っても聞きませんが、さすがに課長に突っ込まれた時は、何か言いたげなそぶりを見せながらも、基本的には素直に従っていますね。見ていると「あ、今、ソース飲み込んだ」って瞬間がよく分かるんです。
―― いかにも不服そうな顔をしているんですね(笑)。
桜井さん 上長たちの間でも、そのマネージャーの「だって、俺は知ってるもん」ってすねるような態度は有名みたいで……皆さん密かに「チルドレンモード」と呼んでいるみたいです(笑)。なんで1人なのに複数形なのかは疑問なんですけど。
―― きっと、複数の子どもがいっぺんに駄々をこねるレベルで面倒だからじゃないでしょうか(笑)
―― 他に、上司との関係で困ったエピソードなどはありますか?
桜井さん ランチや飲みで上司と同席する時に、相手から「若い子と何を話したらいいのか分からない」って感じが露骨に伝わってくるのが、ちょっとイヤです。
―― 仕事中に上司と雑談などもしない?
桜井さん 全然しないですね。入社したての頃は「大学でどんな勉強をしてたのか、どんなサークルに入ってたのか」などと聞かれたことはありましたが、その後の話がつながらず……。別に上司と話したくないってわけじゃないんですが、向こうが私とのコミュニケーションに困っている様子を見ると、なんだかこっちまで申し訳ない気になってしまうんですよね。
―― どっちが悪いってことでもないのが切ないな……。
桜井さん そもそも会社のカラーとして、他人に干渉しない人が多いのかもしれません。ランチもほぼ皆さん1人でどこかに出て行きますね。私はお弁当を持参してるんですが……うちの会社、節電対策でランチタイムに業務フロアが消灯するんですよ。だから、いつも暗い中でPCの画面の光を頼りに、自分のデスクでお弁当を食べてるんです(笑)。
―― 寂しい! それは絵的に寂しすぎますよ!!(笑)
桜井さん そんなコミュニケーションレスな会社なので、飲み会の機会もめったにないんです。月に1回あるかどうかって感じ。飲みの席で上司たちがある程度酔っ払ってくると「彼氏いるの?」とか聞いてくるようになりますね。でも、それがセクハラだと感じたことはありません。
―― どうしてですか?
桜井さん どんなに酔っ払っていても、あんまり踏み込んだ質問はしてこないんですよ。ライトな話題で当たり障りのないことを聞いてくるんです。酔っ払ってもその程度か……と、少しガッカリするくらい(笑)。
―― なるほど。上の皆さん、なんだか慎ましいですね。
桜井さん 向こうがオープンな姿勢を見せてくれないと、下からグイグイ話しかけていくのって難しいじゃないですか。共通の話題を見つけるのが難しいからってあんまりバリアを張らずに、普段からもう少し下とコミュニケーションを取ろうとしてほしいな……と日々感じてます。
次回、登場するのは交通インフラ系企業にお勤めの島田さん(仮名)。いったいどんな上司が登場するのか……。お楽しみに。
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