やる気を鼓舞しているはずなのに、部下は「言われたことだけすればいい」「怒られない程度にやっておこう」という態度になっている……。これは“問題アリ”の危険信号。部下じゃなく、上司であるあなたの、です。
「言われたことだけすればいいや」
「怒られない程度にやっておこうか」
部下がこんな態度を取りはじめたら要注意。“問題アリ”の危険信号が出ていると思っていいだろう。ただしここで問題なのは部下の態度ではなく、指示を出しているあなた自身の振る舞いだ。
リーダーなら誰もが、チームのメンバーには主体的に動いてほしいと思うはず。そんな働きを期待して、日々、部下たちを鼓舞していることだろう。しかし、やり方を間違えると部下の心は離れ、たちまち“指示待ち部下”になってしまう。
いったい、上司のどんな言葉や振る舞いが部下のやる気を喪失させてしまうのか。ある30代男性のぼやきにその答えが隠されていた。
「今度の新しい上司ときたら、口を開けばネガティブなことばかりで……。毎週ミーティングのたびに『売上が落ちている。このままの数字で推移したら、あなたたちの給料だって下がるかもしれない。そういう覚悟で仕事しているのか?』『売上が伸びなければ、この部署の存続自体が危ない。理解しているのか?』って言うんですよ。ことあるごとにこんなふうに責められ続けたら、めげてやる気も出ませんよ」
業績が悪いことは、現場にいるスタッフなら痛いほど分かっているはず。それなのにそこを上司から詰められ、脅しまがいのことまで言われたら、出るはずのやる気も出ないというわけだ。
なぜ、新任上司はこんな言い方をしてしまったのか。その気持ちは想像に難くない。
新しい部署に来てみたら、予想していたより業績が芳しくない。にもかかわらず、部下たちはのんびりしている(ようにみえる)し、自分たちの仕事ぶりにはとんと無頓着だ。給料は黙っていても毎月間違いなく口座に振り込まれるわけではないんだぞ。どこからそのお金が来ているか分かっているのだろうか……。
部下を見ながら、ため息をつく様子が目に浮かぶ。業績がよくないのだから、上からのキツいプレッシャーもあるだろう。
「この部署のマネージャに任命したのは、建て直しを期待しているから。期限は1年。結果を出してくれないと」――上からこんな風に発破をかけられたら、つい、あせって厳しい口調になってしまうのもうなずける。
上からガンガン責められているのに、下は一向に動こうとしない……。そんな状況を変えなければならない管理職はツラいものなのだ。
「売上が落ちている」「利益が出ていない」「競合他社に追い抜かれた」「コンペに負けた」……。こんな事態が続いている時に部下がそれを意識せず、お気楽に仕事をしているとしたら、たしかに大問題だ。
しかし、そこで暗い話ばかりするのはどうだろう。危機感こそ持つかもしれないが、前向きなエネルギーが湧き出てくるはずもない。
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