“黒船来航”の発想で画期的なアイデアを生み出す――「掛け算のプロセス」:四則演算の発想フレームワーク
四則演算を発想思考に使い、短時間で効果的なアイデアを発生させるシステム「四則演算の発想フレームワーク」。今回は、現状改善型の「足し算・引き算のプロセス」に比べ、一段レベルが上がる理想追求型の「掛け算のプロセス」を紹介します。
四則演算の発想フレームワークとは
「4文字英語の最強フレームワーク」に続き、算数の足し算、引き算、掛け算、割り算のしくみを発想思考に使い、短時間で効果的なアイデアを発生させるシステム「四則演算の発想フレームワーク」を5回に渡ってご紹介します。
今回紹介する四則演算の発想フレームワークは、『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(ソフトバンククリエイティブ刊)の第3章「発想のフレームワークでアイデア爆発!」から抜粋しています。
4回目は掛け算のプロセスについて解説します。
「足し算・引き算のプロセス」は、対象となる問題を分解し、その要素に対してポジティブファクターを増やす、あるいはネガティブファクターを減らす「現状改善型のアプローチ」でした。
一方、「掛け算のプロセス」は「理想追求型のアプローチ」です。とにかく、いきなり理想の形、問題がすべてうまく解消された形を追い求める方法なのです。現状改善に比べれば、レベルが一段上になります。前例や常識、現在のルールなどをいったん忘れて、洞察力や直感力によってイノベーションのアイデアを引き込みましょう。ウィスコンシン大学のナドラー教授も自身の提唱したワークデザイン法で、対象となる問題をシステムとしてとらえて、その機能を実現する理想のシステムを検討する重要性を説いています。
しかし、どのように理想のアイデアを考えればよいのでしょうか? ここで、ジェームス・ヤングのかの有名なフレーズを確認してみましょう。
「アイデアとは、既存の要素の組み合わせ以外の何ものでもない」
つまり、アイデアそのものは、既存の要素の「掛け算」にしかすぎないということです。まったくゼロから考えたはずのアイデアでさえ、実は何か別のところにヒントがあって生み出したものなのです。
しかし、何でもかんでも組み合わせれば良いアイデアが生まれるとは限りません。例えば、自分の把握している情報の組み合わせだけでは、これまでにすでに考えついているアイデアを超えるようなものは生み出しづらいでしょう。それでは、組み合わせる要素はどのようなものがいいのでしょうか? そこで、先ほどのジェームス・ヤングのフレーズを言い換えてみましょう。
「パワフルなアイデアとは、既存の異質な要素の掛け算以外の何ものでもない」
独創的で画期的なアイデアとは、自分の知っている世界からだけではなかなか生まれてこないのです。異質なもの、異質な世界とのコラボレーションによって生まれてくるものなのです。自然界では外来生物が侵入してくると、それまでの生態系が大きく変化することがあります。日本でもペリーが黒船で来航しなかったら、鎖国政策が続いて、日本の産業発展はさらに遅れることになったかもしれません。結果が良くなるか悪くなるかはさておき、大きな変革には「外来からの異質な何か」が必要なのです。でも「異質な何か」って、どんなものなのでしょうか?
次回は新しい視点をもたらす「異質な何か」についてご紹介します。
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