「足し算」「引き算」「掛け算」「割り算」を使ったアイデア発想法って?:四則演算の発想フレームワーク
フレームワーク(思考の枠組み)を上手に活用することで、仕事の効率と成果を格段にアップできる――四則演算を発想思考に使い、短時間で効果的なアイデアを発生させるシステム「四則演算の発想フレームワーク」を5回に渡って紹介します。
四則演算の発想フレームワークとは
「4文字英語の最強フレームワーク」に続き、算数の足し算、引き算、掛け算、割り算のしくみを発想思考に使い、短時間で効果的なアイデアを発生させるシステム「四則演算の発想フレームワーク」を5回に渡ってご紹介します。
今回紹介する四則演算の発想フレームワークは、『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(ソフトバンククリエイティブ刊)の第3章「発想のフレームワークでアイデア爆発!」から抜粋しています。
最初のプロセスは割り算(÷)です。問題の割り算というのは、問題を分解・分割するという意味です。いわば問題のバラバラ化です。
問題解決のスタートは、問題分析です。正しく問題を把握していないと、その後どんなに改善、改革しても思い通りの良い結果には結びつきません。まず問題に対するあらゆる先入観を取っ払い、問題を細かい要素に分解していきます。
人は目の前の問題は大きければ大きいほど、手がつけられません。手の出しようがないと、不安や焦燥が募るばかりです。この状態では思考が停止し、本当に駄目になってしまいます。そのため、問題に手がつけられる大きさまで細分化する必要があるのです。それが「問題の割り算」です。
割り算の切り口はいろんなものが考えられますが、私は、“5W2H”をオススメしています。5W2Hは使い古されたフレームワークですが、事実や状況を網羅的に把握するには、これ以上のものはありません。5W2Hで問題を細かく分解すれば、アナタの頭の中もかなり整理されて、スッキリすることでしょう。
割り算の次のステップは、2通りあります。足し算・引き算を使う現状改善のプロセスと、掛け算を使う理想追求のプロセスです。
現状改善型プロセスでは、割り算で分解した各要素について足し算、引き算を検討します。
足し算(+)とは、増やすことで価値を高めることができる方法は何か? 引き算(−)は、減らすことで価値を高めることができる方法は何か? ということです。つまり、割り算で分解された要素の1つ1つについて、ポジティブファクターの増量とネガティブファクターの減量を行います。付加価値の向上とムダの排除を検討していくプロセスなのです。
足し算と引き算のプロセスは、小さな要素に対する「カイゼンのアイデア」の積み重ねです。カイゼンのアイデア1つ1つは非常に地味な効果かもしれません。しかし、カイゼンもそれらが複数組み合わさることによって、非常に大きなパフォーマンスも期待できます。
一方、理想追求型プロセスでは、現状改善型プロセスのように足し算、引き算を使って、各要素を地道にカイゼンするのではなく、いきなり最善、理想の答えを見つけようとするアプローチです。そのために、従来は気づかなかったテーマ、別の視点、別の業界、別エリアなど異質な世界とのコラボレーションを行います。このコラボレーション(組み合わせ)が掛け算(×)というわけです。
掛け算のプロセスは、直感も重要なため、足し算、引き算に比べると1つレベルが高くなるのですが、思いもよらない大きな成果につながる可能性が高いプロセスです。掛け算プロセスは、理想の姿をいきなり追いかけますから、最初から「イノベーションのアイデア」狙いです。掛け算プロセスは、どのような要素を組み合わせるかが、鍵となります。
まとめますと、四則演算のフレームワークとは、次のような流れになります。
四則演算のフレームワークの流れ
問題が発生
↓
「割り算」する〜問題分析による正しい把握
問題を分解し、整理する。新事実を発見するまで
↓
「足し算」「引き算」する〜各要素に対して現状改善を行うプロセス
足し算=価値を高めるために、増やしたいもの、増やす手段を考える
引き算=価値を高めるために、減らしたいもの、減らす手段を考える
「掛け算」する〜いきなり理想を追求するプロセス(後から実現手段を考える)
掛け算=異質なものとのコラボレーションにより、いきなり理想の形をイメージする
↓
アイデアの生成、蓄積、フィルタリング
思いついたアイデアを、もれなく記録し、実現性と期待成果のレベルによって分類する
次回以降、各プロセスについて、詳しく説明していきます。
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