100円ショップのアイテムで作れる発想ツール3つ:アイデア・スイッチ(4/4 ページ)
アイデアを考え出すこととは、「既存の要素をたくさん集め、シャッフルし、新しい組み合わせをつくる」こと――今回は100円ショップのアイテムだけでつくれる発想支援ツールを3つご紹介します。
アイデアを具体化する「6W3Hシート」の作り方
アイデアというものは、思いついたばかりのときはとても未成熟な状態です。ビジネス領域でのアイデアに限っていえば、ビジネスプランを構成する要素は、おおまかに9つに分けることができます。ビジネスアイデアを思いついたばかりのときは、2つか3つの要素ははっきりと語ることができますが、残りの要素はぼんやりとあいまいな状態です。
アイデアをプランへと発展させるには、すべての要素を具体的にする必要があります。それをかなえるために、ここでは、アイデアの要素すべてを具体的に描き出すのに便利なホワイトボードの作り方を紹介します。
ステップ | 実行内容 |
---|---|
ステップ1 | 9つのセル(マス)のうち、アイデアを書き込むセルに、短文や単語でアイデアを書き込みます(思いついたばかりのアイデアなら、セルが2〜3個埋まる程度だと思います)。 |
ステップ2 | 空いているセルに入れるべきアイデアを発想していき、セルをすべて埋めます(仮のアイデアで結構です)。 |
ステップ3 | 全部のセルを見直して、要素間に整合性があるように、何度も書き直します(自分のアイデアの心臓部となるセルを決めて、それを起点に、ほかのセルを再調整していきます)。 |
それぞれのセルに書くべきことは、次の通りになります。
6W3H | セルに書くべきこと |
---|---|
何を売るのか[What] | 新商品、新サービス、新事業の具体名を書きます。 |
いくつつくるのか[How many] | どのくらい販売(生産)するのかを書きます。あるいは、一度にいくつ提供するのかを書きます。 |
誰に売るのか[Whom] | 誰向けの商品・サービスかを書きます。 |
なぜ顧客は買うのか(購入動機)[Why] | 顧客は、なぜその商品を買うのか、お客さんが買いたくなる理由(購買理由)を書きます。 |
いくらで売るのか[How much] | いくらで提供するのかを書きます。想定顧客とその購買理由からして、いくらで顧客が買うのかは、ある程度、限定されています。 |
どのように売るのか[How] | どのように顧客に提供するか(ビジネスの仕組み)を書きます。 |
どこで売るのか[Where] | どこで売るのか(ネット上のオンラインストアなのか、実店舗なのか、実店舗だとしたら、どういうところか)、どの販売チャネルで売るのかを書きます。 |
どういう時期に売るのか[When] | いつから売るのか、どれくらいの時間提供するか、を書きます。 |
誰が事業をするのか(そのビジネスプランをうまく実行できる「強み」)[Who] | 誰がそのビジネスをやるのかを書きます。そして、(括弧)をつけて、その中にその人のもつ「強み」を書きます。 |
なお、このWhoの項目には、たいていの場合「自分」が入りますが、「強み」をチェックすることで、そのアイデアを実行するのに自分が最適な人物かを判断します。もしもほかの人の強みのほうが、そのビジネスプランを実行するのに適している場合、そのビジネスプランが成功する可能性は低いでしょう。その人・組織のもつ強みに立脚したプランであるからこそ、他者には真似できないものになるのです。このWhoの項目は、ビジネスプランが、強みを十分に活かせるものであるように、ほかの8要素に軌道修正を促します。
以上が、各項目を発想するための補足説明です。何度も書き出して、整合性をチェックして修正すれば、基本的には、簡単なビジネスプランがそれだけで完成します。
なお、硬質カードケースの代わりに、先に紹介したクリアフォルダでも結構です。クリアフォルダと硬質カードケースは、どちらもホワイトボードのように使えます。持ち歩く機会が多い場合は、軽くて、曲げられるクリアフォルダーが良いでしょう。持ち歩くことが少なく、自分の机だけで使う場合は、この硬質カードケースがお勧めです。本物のホワイトボードのような硬くしっかりした手ごたえがあります。
また、100円ショップにはありませんが、A3サイズの封筒型フィルムを手に入れて、かぶせるだけでもホワイトボードにすることができます。最も簡単な代用品としては、台所にあるラップがあります。それを貼っただけでも、短時間の使用に耐えるホワイトボードになります。
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