『隷従への道』――総選挙前に考えたいこと:藤沢烈の3秒で読めるブックレビュー
全体主義は、社会主義が生んだとした古典『隷従への道』。社会主義化の傾向にリスクはないのか――総選挙が近い今、読んでみてほしい。
総選挙が近い。雇用やITの政策も論点になっているから、若者層にとっても関心が強そうだ。ただし、社会主義化の傾向にリスクはないのか。ナチスドイツ、ソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)のような全体主義は、社会主義が生んだとした、ハイエクによる古典『隷従への道』を読んでみよう。
社会主義はなぜ自由を奪うのか
社会主義と自由主義(保守主義)を比較してみる。社会主義は政府による関与を強め、さまざまな政策により国民へのサービスを強化する。ただし個々人の自由よりも国による統制を重視する。結果の平等を優先し、競争は回避する。自由主義は、個人の自由を尊重する前提の中で、政府は関与を行う。機会の平等を維持し、競争をさまたげる要因を取り除いていく。
社会主義では、国政を担当する政治家や官僚のスキルを絶対視し、個人の主張は取り上げない。ナチスドイツがユダヤ人を迫害したように、時に政権は少数派を攻撃し、当たりの良いプロパガンダを流し続け、教育は不十分なまま。左翼と右翼が大合併し、自由主義者を追放して全体主義国家が出来上がる。
日本の行く末
日本では小泉政権の反動から、自民党も民主党も社会主義側に大きく寄りかかっている。同時に、若者中心に右翼化が進んでいると言われる。日本でも左翼と右翼が合流することがありえるのだろうか。「雇用をもっと!」と叫んでいたら、職業や賃金やレジャーですら国や世間が決めてしまう日本に進んでしまうかもしれない。
著者紹介 藤沢烈(ふじさわ・れつ)
RCF代表取締役。一橋大学卒業後、バー経営、マッキンゼーを経て独立。「100年続く事業を創る」をテーマに講演・コンサルティング活動に従事。創業前の若者に1億円投資するスキームを企画運営し、話題を呼ぶ。「雇われ経営参謀」として500人以上の経営・企業相談を受けてきた。ブログに毎日書評を掲載し、現在1000冊超。
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「これからの日本に必要なのは、革新的な経営感覚を持った若き経営者だ」――そう考え、有望な人材の発掘・育成のサポートに日々邁進する経営コンサルタントがいる。藤沢烈、33歳。マッキンゼー出身、現在は独立してベンチャー企業のコンサルティングを行う、彼の日常とは? - 1人シリコンバレー創業プロジェクト、そして――藤沢烈さん(後編)
「エゴは罪悪ではない」「200年先を見据えて考える」――思案しながら藤沢さんが選びだす言葉は非常にユニークだ。その彼が企画したのは“起業経験がない若い人に、1億円出資します”という一大プロジェクト。彼の思いは、そこに至るまでの人生とは……?
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