不慣れな司会も大丈夫! うまく会議を進める方法:マグロ船会議術(2/2 ページ)
「いざ会議の進行をしてみたら、何をどう進めてよいか分からず、アタマが真っ白になった」という経験に心当たりがある人は多いのではないでしょうか。しかし、あたふたせず、うまく会議を進行させる簡単な方法があるのです。
「どうしたらうまく進むか、案があったら教えてください」と助けを求める――90点
新人でなくても、初めての司会は、どう進めていいか分からずアタマが真っ白になるもの。今回、司会をすることになった新人クンは、焦るあまりに話し始めはいつも、「あ、う」と言っていましたが、これは過去のわたしのことです。自分では、「あ、う」と言っていることすら気づいておらず、上司から、「お前はオットセイか!?」というツッコミをもらったニガイ思い出があります。
司会の役目は、とにかくみんなが気持ちよく話し合え、みんなが納得する結論が出せるサポートをすること。キレイな司会をする必要はありません。どう進めていいか分からなくなったら、素直に「どう進めればいいのか、分からなくなってしまったので、どなたか進め方で案があれば教えて頂けないでしょうか?」と助けをもとめ、周りの人の知恵を借りましょう。
司会者よりも参加者のほうが、緊張していない分いい案を持っている可能性があります。誰かが案を言えば、他の人が、「いや、それならこういうやり方のほうがいいんじゃない?」とさらに案を出してくれる場合もあります。
この方法は、司会者が進め方をどうしていいか分からなくなったときに有効なだけでなく、参加者が自分の考えを話していくので、出席者の会議に臨む真剣さが変わります。
得てして会議の結論は、「しょせん、あの人が勝手に決めたこと」と、参加者に思われてしまう場合が多いですが、参加者が主体的に話して得た結論は、「自分たちでちゃんと話し合った」という満足感があります。納得できた結論は、きちんと実行されることが多いのです。
司会ができそうな人に「わたしには無理ですから、代わってください」と素直に言う――20点
任された司会の立場を丸投げしてしまうのは止めましょう。
さすがに周囲から、「アイツ、やる気がまったくないな」と判断され、誰からもきちんと対応してくれなくなる恐れがあります。
自分から、どんどん案を出しまくる――30点
こうしたテンパった状況で、「どんどん案を出せ」と言っても無駄です。きっと、案など出ないでしょう。たとえ案が出たとしても、進行について気をつけている人がいないと、“舵取りのいない船”になってしまい、本題とはまったく違うことを話してしまうケースも多いです。
司会の役割とは
回答1の通り、みんなから協力をもらうことで会議がうまくいったら、あとで参加者に対してお礼を伝えましょう。そうすればまた協力をしてくれると思いますし、次もまた、参加者の本気度が高い、いい話し合いができるでしょう。その結果、徐々にあなた自身の評価も上がるはずです。
マグロ船に乗せられていたとき、船長は漁師たちからとても尊敬されていました。船長が指示することに、漁師たちは「えー、それ、俺がやるんか?」と笑いながら言うことはあっても、最終的には指示通りに作業をしていました。
船長に、「どうしてみんなから尊敬されるようになったんですか?」と聞いたら、「1人1人のええところをほめたり、指示通りにやってくれたことはちゃんとお礼を言うちょる」と話してくれました。
わたしたちは自分を良く見せるため、ついつい「どうしたらもっとほめてもらえるか?」「敬ってもらえるか?」を考えてしまいがちです。しかし、船長の話によると、「どうしたら自分がほめられるかを考えるのではなく、相手のいいところを見つけたり、感謝を伝えたりすることが大事」なようです。
自分自身で考えても、確かに「とっても仕事ができる人」より、「自分を認めてくれる人」の近くにいたいと思います。これはきっと、ほとんどの人がそう思うのではないでしょうか?
会議においても、「進め方が分からなくなったので、案があれば教えてください」という言い方で参加者の能力を発揮させる場を作り、いい会議になったら参加者にお礼を伝えるという形が、出席者にとっても「自分が出た意味があった」という満足感を感じさせることができるのです。
ですから次の会議では、「自分の腕を見せよう!」と力むより、出席者の力を借りて、自分の実力以上にいい会議をつくることを目指してみてはどうでしょうか?
筆者紹介:齊藤正明(さいとう・まさあき)
ネクストスタンダード代表。1976年東京生まれ。北里大学水産学部卒。大学卒業後、民間企業の研究所に入社し、「マグロの保存剤」の開発に携わる。
入社2年目のとき、上司から「マグロの保存剤の開発を成功させるには、お前は一回マグロ船に乗ってこい」と理不尽な命令をされるも、断りきれずマグロ船に乗せられる。
嫌々乗ったマグロ船であったが、人間関係がギスギスしやすい閉ざされた空間だからこそ、素晴らしいコミュニケーション術がたくさんあり、笑顔で働く漁師たちに感銘を受ける。
マグロ船を降りたあと、漁船での体験を元にファシリテーション術を自社に導入し成功。その後独立し今に至る。代表著書に『活きのいい案がとれる!とれる!マグロ船式会議ドリル』(こう書房)、『会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ』(マイコミ新書)がある。雑誌などの掲載多数。
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