会議の遅刻が多い人、遅刻者が多い会議への対処方法:マグロ船会議術(2/2 ページ)
会議の遅刻は大変困ります。遅刻する人を待ってしまうと、時間どおりに参加してくれた人の時間が無駄になるし、遅刻している人を待たずに会議を始めると、遅れてきた人が来たときにこれまでの内容を伝える必要があり、二度手間になるからです。さて、遅刻してくる人にはどのように対応すればいいでしょうか?
「遅刻者は素手でクラゲを100匹捕まえてくる刑」など罰則を決めておく――90点
「素手でクラゲを100匹捕まえてくる刑」が適切かは別として、遅刻者が多い会社では「遅刻は厳禁」というルールを作っておくことは大事です。会議室の雰囲気をなごませるため、「1分でも遅れたら、入室時に出席者全員にお茶を買ってくる」など、少し遊び感覚のある罰を合わせて取り入れてもいいでしょう。人の意見を批判する人が多い会社であれば、「人の意見を批判するときは、代案を付け加えること」というルールなども有効です。
とにかく、自分の会社で多い困ったこと、例えば今回のように、「遅刻者が多い」や「代案もなく批判的な意見を言う人が多い」場合は、ルールとして禁止してしまいましょう。そうすれば、「ルールでも決まっておりますので」という言葉を楯のように使えば、目上の人であっても注意できます。
だからといって、ルールだらけにしてはいけません。それでは窮屈になり、話し合いが盛り上がらないという弊害も起こりえます。ルールはせいぜい5つくらいにしておき、その代わり、きちんと皆で徹底して守りましょう。
厳しく注意する――20点
相手が上司でも部下でも、あまり厳しく注意しても反発を招くだけで、それほど改善ができるわけではありません。会議室の雰囲気を悪くするだけで、あまり良い効果が見られないことも多いです。もし注意をするのであれば、みんなの前で言わず、一対一になって伝えましょう。
遅刻者は会議室に入れないようにする――50点
「遅刻」は「委任」であるとみなして、遅刻者を待たずに会議を始めてしまうことは悪くありません。その代わり、遅刻した人は会議で何が決まっても反論は許されません。ガミガミ怒っても相手との関係をおかしくするだけですから「遅刻するのは構いませんが、その代わりに会議には参加できません」というふうにしたほうが、相手に響くでしょう。
ただし、「会議を招集した人」や、「プレゼンをする人」が遅刻した場合には、会議ができなくなってしまうという欠点があるので50点です。
遅刻者が多い会議は、その会議自体の意味を見直せ
遅刻者が多い会議は、実はその会議自体の意味を見直す必要がある場合も多いです。今回のように「定例会議」と名前がついた会議には、とくにその傾向が強いです。思い当たる節はありませんか?
会議参加者にとっては「今日は一体、何のために会議をするんだろう?」と当事者意識もなく、気乗りしていないから遅刻をするのです。定例会議を行っていた、ある会社の研修で「定例会議と聞いて、どんなイメージがありますか?」と参加者にたずねたところ、約7割が「時間の無駄」と回答し、その会社の経営者を慌てさせたことがあります。前回と重複する部分ですが、定例会議であれど、会議をはじめる前に、今回は何を話し合うのかを決めて参加者に共有しておきましょう。
会議参加者は会議に出るために、資料を作ったり、営業に行く時間を潰して社内に残っていたりと、それだけでも目に見えないコストを感じているのです。様々な仕事を抱えた忙しい人々がせっかく集まるのですから、惰性で会議を行わず、会議の設定者は、参加者が「それならばぜひ話し合っておきたい!」と思うような「議題設定」と「雰囲気作り」をしておきましょう。そうすれば、遅刻者や直前欠席者が出る可能性はグッと減るはずです。
またほかの参加者も、うっかり遅刻をすることがないよう、ただ受け身でいるだけではなく、ときには会議の設定者に働きかけるなどして当事者意識を高めて会議に挑み、会議の適切な運営のために協力しましょう。
筆者紹介:齊藤正明(さいとう・まさあき)
ネクストスタンダード代表。1976年東京生まれ。北里大学水産学部卒。大学卒業後、民間企業の研究所に入社し、「マグロの保存剤」の開発に携わる。
入社2年目のとき、上司から「マグロの保存剤の開発を成功させるには、お前は一回マグロ船に乗ってこい」と理不尽な命令をされるも、断りきれずマグロ船に乗せられる。
嫌々乗ったマグロ船であったが、人間関係がギスギスしやすい閉ざされた空間だからこそ、素晴らしいコミュニケーション術がたくさんあり、笑顔で働く漁師たちに感銘を受ける。
マグロ船を降りたあと、漁船での体験を元にファシリテーション術を自社に導入し成功。その後独立し今に至る。代表著書に『活きのいい案がとれる!とれる!マグロ船式会議ドリル』(こう書房)、『会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ』(マイコミ新書)がある。雑誌などの掲載多数。
関連記事
- 人を動かす話し方講座:相手を乗せて話をさせる“さんま流”相づちテクニック
人との会話を弾ませる「会話盛り上げ能力」を高める方法を、今回は明石家さんまさんのトークから学びましょう。 - 人を動かす話し方講座:「朝ナマ」の田原総一朗さんに学ぶ――参加者同士の議論を活発にさせる質問術
前回は会議の議事進行を行うときに、参加者からスムーズに発言を引き出す方法についてご紹介しました。今回はさらに議論が活発になるテクニックについて、「朝まで生テレビ」から学びましょう。 - プロ講師に学ぶ、達人の技術を教えるためのトーク術:身体の前にカベを作るな――動画で見るプロ講師のあいさつ術(後編)
教室形式の広い部屋に大勢の人を集めて教える研修では、オープニングトーク、すなわちあいさつが重要。前回から、営業コンサルタントの庄司さんをゲストに、7つのチェックポイントのうち3つまで解説しました。動画を交えながら引き続き、残る4つの検討を続けましょう。 - プロ講師に学ぶ、達人の技術を教えるためのトーク術:おじぎはしないほうがいい――動画で見るプロ講師のあいさつ術(前編)
もうじき4月、新入社員研修の季節です。読者の中にも講師に任命されて緊張している人もいるのではないでしょうか。新人研修と言えば、基本的には集合研修。教室形式の広い部屋に大勢の人を集めて教える研修では、オープニングトーク、すなわちあいさつが重要です。 - アイデア創発の素振り:斬新なアイデアを30分で思いつく方法――TRIZ、再び
「ああっ、斬新なアイデアがほしい!」。あなたが今、そう思っているならば、この方法をぜひ実践してほしい。30分の時間があれば、必ず斬新なアイデアを出せる“究極の理想解”を紹介する。 - アイデア創発の素振り:「今までにないアイデアを出さなきゃ」をかなえる「エクストリーム・ゴール」
「アイデアはそこそこ出るんだけど、どうも妥当なアイデアばかりなんだよなあ……」。そんな状況からノートとペンだけで「これまでの延長線上にはないアイデア」を生み出す具体的方法とは――。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.