会話の工夫であなたの職場は少しずつ働きやすくなる:「職場がツライ」を変える会話のチカラ(2/2 ページ)
「働きやすい職場」を作るには、誰か1人が引っ張っていくのではなく、同じ職場で働く一人ひとりが小さな工夫をして、自分ができることから変えていけばいいのです。
全員をポジティブにしようとする必要はない
あなたが意欲を持って楽しく働ける職場とはどんな職場かを、イメージしてみてください。もしかしたら、「スタッフ全員がワクワク楽しく働いている職場」や「全員がポジティブで、活気にあふれている職場」を思い浮かべるかもしれません。
そういう職場なら、確かに楽しく働けるでしょう。でも実際には、全員がポジティブになることは、そう簡単ではありません。
わたしたちの現実は、山あり谷ありです。このあいだまではポジティブだった人でも、いまこの瞬間には挫折しそうになっていたり、苦しさを乗り越えようとしていることもあります。それに、毎日ポジティブすぎるのも、疲れてしまいそうですし。
人にはそれぞれ役割があります。ネガティブな人がいるからこそ、「やっぱり、みんながワクワク楽しく働ける職場がいい。そんな職場で働きたい!」と気づけるのです。
だから、全員をポジティブに勇気づける必要はありません。最初は2、3人の、仲のいい仲間からでいいのです。その仲間に対し、会話に工夫を施すこと。そうして小さなポジティブ仲間ができたら、その工夫を、ほかの仲間に対しても意識すること。
すると、ポジティブの輪は少しずつ広がっていき、いつしか、「あれ? そういえば最近、前よりも職場が明るくなってきたな」「仕事をするのが楽しくなったな」へと変わる日が、きっと来ます。
相手の反応は「よい変化」へのフィードバック
会話を工夫には、「相手を褒める」といったことも含まれます。すると、「○○さんは最近、急に褒めるようになって、気持ちが悪い」など、ひょっとしたら批判されることも、あるかもしれません。せっかく「よい方向に変えよう」とがんばっているのに、批判をされたら、あなたのやる気がしぼんでしまいますよね。
でも、わたしもそうですが、基本的にヒトは「変わりたくない動物」なのです。変わりたくないのに、誰かが変えようとしているから、それに「批判」というかたちで反応を示しているのですね。逆にいえば、反応が出たということは、「変化のきざし」を感じたということ。なので「批判」は失敗ではなく、うまくいきだしたことを示すフィードバックだと考えましょう。
「反応」は出たけれど、しばらく続けても思うような変化が起きないようなら、今度は別のことをやってみましょう。そうすると、また違う「反応」が出るはずです。こうしてフィードバックを繰り返していくことで、あなたの職場が確実に変わっていくことを、約束します。
また、これからお話ししていく「会話術」を少しずつ実践していくことで、おなじ職場で働くスタッフたちが前向きになるだけでなく、あなた自身も少しずつ前向きになることに、お気づきになると思います。それはきっとあなたにとって、とてもうれしい変化だと思いますよ。
著者プロフィール:竹内義晴(たけうちよしはる)
テイクウェーブ代表。ビジネスコーチ、人財育成コンサルタント。自動車メーカー勤務、ソフトウェア開発エンジニア、同管理職を経て、現職。エンジニア時代に仕事の過大なプレッシャーを受け、仕事や自分の在り方を模索し始める。管理職となり、自分が辛かった経験から「どうしたら、ワクワク働ける職場が作れるのか?」と悩んだ末、コーチングや心理学を学ぶ。ちょっとした会話の工夫によって、周りの仲間が明るくなり、自分自身も変わっていくことを実感。その体験を基に、Webや新聞などで幅広い執筆活動を行っている。アイティメディア「オルタナティブ・ブログ」の「竹内義晴の、しごとのみらい」で、組織作りやコミュニケーション、個人のライフワークについて執筆中。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』がある。Twitterのアカウントは「@takewave」。
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