iPad、これなら使える! 手書きアプリに専用ペンまで作ったMetaMoJiが目指すもの:iPadで手書きの可能性(2/2 ページ)
iPadの登場は、PC黎明期を経験した人々に大きなインパクトをもたらした。その1人、PC向け日本語入力システムの標準を生み出したMetaMoJiの浮川和宣社長(ジャストシステム創業者)は、タブレットでもあえて手書きができる点を追求し、新しいコンピュータ利用の在り方を探っている。
7notes×Su-Penが生み出す快適な手書き入力
冒頭で紹介した通り、MetaMojiが目指すのは紙に手書きするような感覚をタブレットの文字入力でも実現することだ。最初はアプリ(7notes)開発から始まり、7notesをもっと快適に使うことを求めているうちにスタイラスペン(Su-Pen)に行き着いた。
浮川社長によると、7notesとSu-Penの組み合わせでタブレットに手書きした人のほとんどが「おおー」と声を上げて感動するという。実際に筆者もその組み合わせで書いてみたのだが、ほとんど力を入れずに、しかも滑らかにタブレットに文字を書けることに感動した。
7notes側の感度もそうだが、Su-Penのほどよい重量と持ちやすさが文字を書くというストレスを生み出さず、むしろもっと書いてみたいと思わせる使いごごちがある。以前プラスチック製のスタイラスペンを使っていた際に時々起こっていた、つっかかる感もない。
筆者は7notesとSu-Penを使い始めてまだ2週間ほどだが、浮川社長は「2、3カ月経って、慣れてきたころにこの製品がいかにストレスなく手書き入力ができるものかが分かる」と話す。類似の他製品と比べるわけではないが、使い続けてこそ利便性を実感できるものなのだという(Su-Pen開発の裏話などはこちらで紹介しています)。
なぜあえてタブレットで手書きなのか?
手書き文字をデジタル化する行為は、ここ数年でスマートフォンやタブレットのユーザーを中心に割と定着した感覚がある。その裏付けとして手書きメモをスマートフォンで撮ってデジタルデータ化する製品は「ショットノート」や「キャミアップ」「KYBER SmartNote」など、多くのメーカーが発売し、人気商品となっている。
そう考えると7notesのアプローチは、それらとは異なる位置にいるように思う。他の製品がノートに手書きするのに対し、7notesはタブレットやスマートフォンに直接手書き入力する。7notesをインストールした端末さえあれば、手書きのデジタル化ができるからだ。さらに快適な書き心地を求める場合には、Su-Penのようなスタイラスペンを用意するだろう。
なぜあえてこの方向性に行き着いたのか。浮川社長に7notes発売の背景を聞くと、意外にも以前はタブレットの中だけで手書きのデジタル化を完結できるとは思っていなかったという。しかしiPadに出会った瞬間に新しい手書き日本語入力システムのアイデアが次々と湧き、mazecを開発。頭と手で感じる直感や処理速度、スムーズさ、書けない漢字入力を支援する点を重視した7notesを出したことで「これなら使える!」と実感した。
もちろん最初から完璧に満足するものではなかった。リリースから約2週間後に最初のアップデートを実施し、操作スピードを大幅に向上。それまでネックとなっていた“サクサク感”を出したことでより自信を持った。
「今後数年はインターネットを使わない生活はありえない。一方で手書き文化、何かを入力するときの最初の一歩は手書きであることが多い。中はキーボードを使えない人もいるし、そうした場合に7notesで手書き入力を使ってもらえたら」(浮川社長)
ビジネス活用も広がりそうだ。例えば銀行のカウンターに7notesを入れたiPadを置いておくことで、ペーパーレスで誰でも簡単に必要な情報を手書きで入力できるわけである。
7notesの良さの1つは、手書きした文字を取りあえずそのまま保存して、後から見やすいフォントに変換できること。書くことに集中でき、ノートを取る際に「変換」という行為を意識しなくてよい。これはキーボード入力では難しいことだ。というのも、日本語と英語が混在する文章を入力する場合に手書きならそのまま書けるが、キーボードは平仮名をアルファベットに変換するという操作が必要になる。
快適な手書き入力を追求し続ける7notesは、11月のアップデートで初のアドオン機能を2つ追加した。1つは手書き英語認識アドオンで、アルファベットの変換をより高精度でできるもの。もう1つは、Evernoteへのアップデートをより簡単にできるEvernote 高機能連携アドオン。保存先を細かく指定でき、複数形式での一括保存も可能だ。
このアップデートはユーザーの評判が非常によいという。アドオンの購入だけでなく、7notesの新規購入数も増えた。
「7notesは、これまでコンピュータを使わなかった80代の母でも使える! と言ってくれた。手書きという誰でも直感的にできる行為をタブレットとスマートフォンでもできるようにしたことで、家族や友人、人とのコミュニケーションにも7notesを使ってもらいたい。今後も、誰でも使えて快適な手書き入力を求めて7notesアップデートを重ねていく」(浮川社長)
関連記事
- iPadの手書きデータを即Evernoteへ――「7notes for iPad ver.3」
手書き入力した文字をテキストデータに変換するアプリ「7notes for iPad」の最新版が登場。入力機能の向上に加え、Evernote連係とアルファベット変換のアドオン2種類をラインアップした。 - iPadが「これなら使える」――「7notes」に自信、MetaMoji浮川社長
iPadが「これなら使えるね」と確信したMetaMoji浮川社長。同社が2月3日に発売したiPad用デジタルノートアプリ「7notes(セブンノーツ)」である。 - 起動速度が向上、候補文字選択UIを改良――「7notes for iPad」がバージョンアップ
MetaMoJiが、iPad向けデジタルノートアプリ「7notes for iPad」をバージョンアップした。起動速度の高速化や手書き入力での候補文字選択UIの改良を行っている。 - デジタルノート「7notes」がiPhoneで使える――7notes mini(J) for iPhone発売
すらすらと手書きで文字を入力し、適宜テキストデータに変換して行けるデジタルノートアプリ「7notes」がiPhoneでも利用可能になった。6月末までキャンペーン価格で販売中だ。 - iPadをもっと直感的に! 漢字の補完変換もする手書きノートアプリ「7notes」
MetaMoJiは、手書き入力機能を搭載したiPad用デジタルノートアプリ「7notes(セブンノーツ)」を発売した。価格は1500円だが、2月末までは発売記念キャンペーンとして900円。 - Evernoteをもっと身近に――口コミ×機器連係でユーザー増
Evernoteは2011年にアップデートした新機能や、新たにEvernote連係をした製品・サービスをパートナー企業とともに披露した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.