「○日で繰り返す」でリピートタスクの最適な間隔を探る必要がある理由:あなたの不安、見積もります
繰り返しのタスクをどう配分するか。この仕組み作りに必要な考えが「○日おきの設定をどんどん変えていく」ということなのです。
3分LifeHackingの「ToDoやアプリに登録しておきたいリピートタスク12選」という記事を読みました。きれいにまとまっていて便利だったのですが、こうした「仕組み作り」をする際に欠かせない要素が抜けていたのです。
それは「○日おきの設定をどんどん変えていく」ということ。先ほどの記事では「繰り返しの種別」の大半が「完了日ベース」か「期日ベース」なのです。「期日ベース」はよく分かりますが、それ以外の大半が「完了日ベース」だけでは不便ではないでしょうか?
この記事でも紹介していたToDo管理ツール「Toodledo」を使うと、繰り返し設定を「Simple options」から「Advanced options」に変えられます。するとワクのなかに「Every 1 day」というように「1日おき」という設定ができるようになります。
「Daily」でもいいのに、なぜわざわざ1日おきなどということにするかというと、この数字さえ変えれば、繰り返しの間隔を変えることができるからです。この繰り返しの間隔というのが非常に重要なのです。
というのも「完了日ベース」と簡単に言うけれど「完了してから何日後にそのタスクを「しなくてはいけないか?」が最初から分かることはほとんどないからです。
例えばトイレットペーパーがなくなるのは使い始めから何日後でしょうか? これには世帯差や個人差があって当然です。爪や髪を切るのは切った日の何日後がいいのでしょうか? これも人によってさまざまです。ここを「1週間おき」「2週間おき」「1月ごと」など簡単に分けられるとは思えません。
私が家計簿をつける場合、銀行口座をチェックしなければならないのですが、そのチェックを毎日する必要はありません。口座によって収支が発生する頻度はまちまちです。間を空けすぎると記録が面倒だし、間を詰めすぎると収支が発生しないのにチェックするだけ無駄です。だから最適な間隔というものがあります。
こういう設定を見た人はたいてい不思議がるのですが、この種の設定は1度決定してしまえば、まず変更する必要はなくなりますし、そのうち意識することすらなくなります。つまり「三井住友銀行の口座をチェックする」という項目が現れた日にチェックするだけで済むようになります。
この間隔が不適切ですと、まだ爪が伸びてもいないうちから「爪を切れ」という指示がToodledoから飛んできたりするでしょう。その場合当然ですが、爪を切る日を「先に送る」ことになるはずです。そんな事を繰り返しているうちに、Toodledoからの指示は当てにならないと人は感じるようになり「仕組み作り」が無意味なものに感じられはじめるのです。最適な繰り返し間隔を重視する意味は、先送りを防ぐためです。
タスクはその日に行うことがもっとも合理的で必然的であるからこそ、その日に行うものなのです。必然的でない設定は必ず「今日はやらなくていいや」という気持ちを引き起こし、それが「リストを見ては先送りする」という習慣を強化してしまうものなのです。
新コーナー【先月の木曜日】
前回から始まった、筆者が先月紹介したガジェットやツールを振り返るコーナー「先月の木曜日」です。今回は「TaskChute2は“未来の時間を使う”ツールだった」を振り返ります。
年末年始をはさんでTaskchute2は使っていますが、これは相変わらず便利です。コンセプトを理解しないと、何でこんなふうに管理するのかと思われるでしょうが、Mac OS上で仮想的にWindowsを走らせてまで、ただTaskchute2のためだけにExcelを使うのは、この方法が一番仕事を進ませるからなのです。
私はToodledoのProユーザーですし、OmnifocusもMac版、iPad版、iPhone版と持っていますが、それでもTaskchute2を使っています。それだけのことがあるんですよ。
筆者:佐々木正悟
心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。
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