初心者でも使える! 青色申告ソフトのポイントを徹底解説:大増税時代(1/8 ページ)
2012年の青色申告の期限は3月15日。最後の仕上げをしている人、もしくは来年こそ青色申告をするという人に向けて、つまずきやすいポイントを多めに青色申告ソフトの使い方を解説する。
確定申告の時期に合わせて1月末から続いた本連載「大増税時代」も今回が最終回だ。最後は青色申告ソフトを実際に使ってみて、簿記の知識がない人でも簡単か否かを読者自身で判断してもらいたいと考えている。
2012年の青色申告の期限は3月15日。残り数日なので、初めての人が今から青色申告ソフトを購入して作業を始めるのは相当なチャレンジだが、入力数が少ない業種の人はまだ間に合う。頑張ってみてほしい。ある程度の時間は必要ということで連載の第1回「増税は消費税だけじゃない。大増税時代の税金を理解しよう」の中で「そろそろ確定申告の準備を」というコラムを書いた。
筆者としては、前回の記事「青色申告って何? 個人事業主の賢い節税を考える」を読んで「25万円も節税できるなら青色申告に切り替えよう」と思った白色申告の人や、これから独立する人で「独立するときは青色申告にしよう」と思った人が、青色申告の実際の作業をみて難易度を判断してもらいたいと思っている。
今回の目次
- 表で見る青色申告ソフト5製品の比較
- 青色申告ソフトを使ってみる(インストール編)
- 初心者がつまずきやすい、家事按分と補助科目の設定
- 「簡単取引入力」を試してみよう
- (裏技)コピペの連打で効率アップ
- 一通り入力した後の決算
- スマートフォンからの入力に挑戦
青色申告をするにはいくつかの方法がある。簿記などを習った方なら全て自力で手書き作成という方法もあるが、そうでない方は市販の青色申告ソフトを使うか、フリーソフトを使うか、国税局のWebサイトにある「確定申告書等作成コーナー」を使うのが一般的だ。
2011年の連載「イチから分かる確定申告」では、次の3つの方法を試してみた。
- 65万円の控除を青色申告で得る“超”具体的な方法(やよいの青色申告編)
- 65万円の控除を青色申告で得る“超”具体的な方法(フリーソフト編)
- 65万円の控除を青色申告で得る“超”具体的な方法(e-Tax編)
市販ソフト「やよいの青色申告」は1万円弱のコストは掛かるが難易度は一番低い。フリーソフトは難易度はやや高めで、ある程度は簿記の経験がないと入力も難しく、初心者では損益計算書、貸借対照表の作成まではたどり着けない。国税局の確定申告書等作成コーナーは最初に入力するのが損益計算書なので、自力で損益計算書を用意できない人には不可能という難易度の高い代物だ。
ここでいう確定申告書等作成コーナーの難しさは、青色申告を行う場合だ。サラリーマンが源泉徴収票を見ながら入力し、医療費控除を申請する程度なら難しくはない。
ちなみに、よく耳にするe-Taxと、国税局の確定申告書等作成コーナーは別物だ。e-Taxは送信手段の名称で、正式名称は「国税電子申告・納税システム」という。国税庁が開発・運営するシステムで、インターネットを活用して税の申請や納税に使用する。
一方、確定申告書等作成コーナーは、同じインターネットを活用したシステムだが、実際の数値などを入力するためのもの。個人事業主の青色申告やサラリーマンの医療控除といった還付申告でも利用できる。ここで作成した申告書は書面提出もできるし、e-Taxを利用して送信することも可能だ。今年もe-Taxの利用状況を確認してみよう。
国税局のWebサイトには「ITを利用した所得税確定申告書の提出人員の状況」が掲載されている(平成22年分の所得税、消費税及び贈与税の確定申告状況等について)。グラフの22年分とは平成22年分の確定申告を平成23年の2月、3月に行った人数を表す。
平成22年分の確定申告書の提出した人数は2315万人。そのうちIT利用人数は1040万人で、ついに1000万人の大台に乗った。その比率は確定申告書提出者の約45%となっている。1000万人、半分近くの人がe-Taxを利用、と早合点してはいけない。この数はIT利用者の総数であり、e-Tax利用者の数ではない。
グラフを見てみよう。上から順番に見ると、緑色は税務署(確定申告会場)に設置しているPCを使用して書面提出した人が約38万人。同じく税務署のPCを使用してe-Taxで送信した人が約458万人(紫色)。この2つは自宅のPCを使用した人ではなく、税務署のPCを使った人でIT利用者45%の半分弱となる21.4%を占めている。
45%の半分強となる23.5%、544万人が自宅のPCで確定申告をしている。そのうち国税局のWebサイトで作成し、書面提出している人が227万人(黄色)。国税局のWebサイトで作成し、e-Taxで送信している人が57万人(ピンク色)。青色申告ソフトなどを使って作成しe-Taxで送信している人が260万人(水色)となっている。国税局のWebサイトで作成した人の申告内容が、サラリーマンの簡単な還付申告なのか個人事業主の青色申告なのかは不明だ。
税務署と自宅でe-Taxを使った人の合計は775万人で全体の33.5%、自宅に限ると13.7%となる。e-Taxと聞いて筆者が当初イメージしていた、国税局のWebサイトの確定申告書等作成コーナーを利用して、そのままe-Taxで送信している人は2.5%にとどまっている。
ちなみに初めてe-Taxを利用すると、最大で4000円の税額控除を受けられる。2011年控除を受けた人は15万3千人。2010年の18万人から15%ほど減少している。このIT利用者のデータで疑問なのは、筆者のように市販ソフトを利用して書面提出している人の分類がないことだ。それなりの人数が存在していると思うのだが、45%のどこかに含まれているのか、45%とは別なのか定かではない。
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