Facebookが嫌いな理由(前編):そろそろ脳内ビジネスの話をしようか(2/2 ページ)
日本でもユーザーが増えているFacebook。「便利だと思う一方で、こんなツールはない方がいい、と強く思う」と島田徹さんは言います。なぜFacebookを好きになれないのか? 利用前・利用後の2回に分けて理由を考えます。
人間、年を取れば汚れてくるのは当たり前
もう1つは、人間年を取れば汚れて当たり前。実名で大っぴらに活動できない人がたくさんいるということです。
私の古い友人で、今は音信不通になってしまった人がいます。私と同時期(13年くらい前)にIT関連の会社を興した人で、年に1〜2度お会いしてお互いの近況報告を行っていたのですが、残念ながら3年ほど前、その人は会社を畳んでしまいました。
会社を畳むというその当日に、短い報告メールをいただきましたが、それに対する私からの返信メールがすでに届きませんでした。ホームページも閉鎖されていました。おそらく今日で会社を終わりにしようという最後の最後に私に挨拶のメールをくれて、すぐにサーバーの火を落としたのでしょう。
そのときの彼の心の内を思うと胸が締め付けられる思いです。その後、彼がどうなったのか、それは分かりません。私からあちこち連絡して居所を探し出すのもどうかと思い、その後何もしてはいませんが、ただ、私はいつも気にかけています。何か連絡があれば力になりたいと思っています。彼はもちろんITリテラシーがすこぶる高い人ですが、おそらくFacebookは使わない、いや使えないと思います。
このような境遇にある人々は、他にもいます。例えば、ストーカーや暴力団、犯罪者から逃げて、泣く泣く住むところを追われてしまった人。離婚協議がまとまらず、子供をつれて遠くはなれた町で暮らす人。過去に起こした罪を背負い、今はひっそりと暮らす人……他にも、私が想像すらできない人生を送っている人たちがたくさんいるはずです。
こういう人たちが新しい土地で少しずつ人間関係を築いていく上で、気持ち悪い存在がこのFacebookです。無垢な人同士でつながる上では何の問題もないと思いますが、世の中には、その輪に入れない人というのがいるわけです。狙ったつもりはないにせよ、そのような方々に一種の疎外感を与えているところが、とても気になります。
今はまだ日本での利用者人口が少ないですが、これが社会人の半数がやっているというくらい普及したら、かなり嫌なことでしょう。
「嫌な人は使わなければいい」では済まないFacebook
Facebookには、陽がサンサンと照らす道を歩く与えられし者の乱暴な割り切りを感じます。このサービスの思想は、たとえばmixiやtwitterのように「嫌な人は使わなければいい」というものではなく、「全員が使うことで便利になる」「ユーザーが増えれば、国境を越えたすばらしい世界が訪れる」というもので、さらにその副産物として「何か過去があって使えない人間」があぶり出される構造なところがタチが悪いです。
思い出すのは、誰かがルールを決めて考え出したちょっとした遊びが、小学校などで爆発的に流行る光景。そういう類の遊びに、Facebookはちょっと似ている気がします。小学校なら、その遊びに気づいた先生が、突然朝礼で「以後禁止。理由はない」などと言って遊びも廃れる展開でしょう。でも大人の世界には先生がいないので、禁止にもならないわけですが……。(後編に続く、島田徹)
※この記事は、誠ブログ「Facebookの実名主義がどうしても馴染めない理由」より転載しています。
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