もう振り回されない! 「虚構新聞」らに学ぶ“デマ”との付き合い方:個人サイト管理人の「目」(4/4 ページ)
Twitterでしょっちゅう飛び交う“デマ”情報。このデマに振り回されない処世術は無いのだろうか。また、そもそもデマとは何か、“デマ”と“ネタ”の境界線はどこにあるのかなどを、「虚構新聞」など人気個人サイト運営者に聞いた。
「タイムライン=世論」と勘違いしやすいTwitter
最後に、そのデマの広まりやすさから、「デマッター」や「デマ拡散装置」としばしば揶揄(やゆ)されるTwitterについて、松永氏に意見を聞いた。Twitterでデマが飛び交いやすいのは、リアルタイムで情報共有できること以外に、どんな要因があるのだろうか。
松永 Twitterには「自分でフォローする相手を選べる」という大きな特性があるため、当然自分の好きな情報や、考え方や興味関心が似た人がタイムラインに集まりやすくなります。そうすると、自分のフォローした人たちの意見が世論だと勘違いしやすくなります。
例えば「反原発」を掲げる人は「私のタイムラインではみんな反原発を支持しています」と主張するだろうし、放射能の影響を懸念して「西日本に逃げるのが正しい」という人は、タイムラインが同様の考えの人たちで占められていることがほとんどです。そうなると、自分のタイムライン上で“正しい”とされている情報を疑う意識が希薄になります。
Twitterは、人によって見える世界が全く異なります。にもかかわらず、「世間はみんな自分と同じ意見だ」と錯覚しやすいツールでもあります。なので、「私のタイムラインは偏っている」との自覚が大切です。タイムラインで話題になっていることを主張した後、誰かから「それ、あなたのタイムラインだけの話でしょ」と指摘されたときにムキになってしまう人は、その意識が足りてないように感じます。当人的には「世間の気持ちを代弁する」といった正義感を背景にしていると思うのですが……。そうやって正義感を無理やり押し付ける人が、Twitterで変に目立ってしまうがために、デマが拡散してしまうのも問題ですね。
自分に似たユーザーや情報が集まりやすいTwitterの特性は、視界が狭まるという点で、ときにマイナス要素にもなる。世の中には多種多様な人間がいるという当たり前の感覚を、SNSの中では忘れてしまいやすいのだ。先ほどまなめ氏が、情報をデマであるか判別する方法として、ほか人の意見や反応を参考にするのを提案していたが、これに倣えば、参考にしている意見すら、自分で選別したユーザーのものであるという自覚を持つことも、同時に求められそうだ。
今回は、デマをめぐる受信者側のリテラシーについて取り上げた。最終回となる次回は、本連載を総括する。個人サイト運営者たちは、ネット黎明期からこれまでの変化をどう感じているのだろうか。このごろのネットのトレンドである、「2ちゃんねるまとめサイト」や「NAVERまとめ」などの「まとめサイト」に焦点を絞りながら、最近のネット社会の特徴や問題についても言及する。
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