環境に合わせて進化する――富士フイルムが化粧品事業で成功できたワケ:トップ1%の人だけが実践している思考の法則(2/2 ページ)
ビジネスもダーウィンの進化論と同様に、激変する環境に合わせてビジネスモデル、製品内容をその都度、修正していけるかどうかが鍵です。綿密な計画より、スピーディーな実行と修正。失敗を恐れず、まずはアクションしてみましょう。
綿密な戦略、ロジカルシンキングの限界
多くの努力家は、自らの知的生産性を高めるためにロジカルシンキング(論理的思考)やビジネス効率化のためのさまざまなテクニック取得に余念がありません。
しかし自らビジネスを創り、育てるためには、こうしたスキルだけでは不十分です。なぜなら綿密に練られた戦略や隙のない完璧な作戦を立てたところで、実際に戦ってみると思ったような成果が出ないのが現実だからです。必要なのは、むしろあらゆる面での柔軟性としつこいくらいの継続性です。
例えば誰もが知るグローバル企業の主力事業の多くは、別の問題解決を試みる過程で、副産物的に生まれたものです。当初見込んだ顧客やサービスではない領域に、これまでにない大きな市場機会があることを偶然、発見したのです。
真のビジネスプロデューサーはビジネスチャンスに気づいてからのアクションが素早いのが特徴です。どんなに荒削りであろうと、最初に「小さな実験(フィジビリティスタディ)」から始めて、まずはそこから顧客の反応を得ます。
ロジカルシンキングによる隙のない戦略を策定したり、膨大な統計データから解を導き出そうとしたりする人々を尻目に、「まず試してみる」というシンプルな規範をベースに、何度も挑戦し、何度も失敗するのです。彼らにとっての唯一かつ普遍の論理があるとすれば、それは「あきらめない」というルールでしょう。
そして失敗は早ければ早いほど有利です。新しいビジネスアイデアの成功確率は5%と言われます。しかし早いタイミングで失敗を分析できれば、対処方法も考えられます。対処方法を早く見つけ出せれば成功する確率は飛躍的に高まります。そして、失敗をスピーディーに軌道修正できるビジネスクリエイティブな人々は、先行者としてのメリットをすべて享受できます。
つまり、誰よりも先にやってみたから先に良いことも悪いことも分かる、というシンプルな原理です。失敗が大事なのは、ビジネスに勝つためにスピードが何よりも重要だからです。
なお本連載の基となった『トップ1%の人だけが実践している思考の法則』(永田豊志著、かんき出版刊)では、5Aサイクルの具体例として、グーグルのほか、ダイソン、アマゾンなど今をときめくイノベーティブな企業群のエピソードを18のケースストーリーで紹介しています。
集中連載『トップ1%の人だけが実践している思考の法則』について
本連載は2012年12月19日に発売した『トップ1%の人だけが実践している思考の法則』(永田豊志著、かんき出版刊)から一部抜粋しています。
- なぜ、Amazonは「大量の小口注文」をさばけるのか?
- なぜ、Googleは「独自の検索システム」を編み出せたのか?
- なぜ、ディズニーランドは「夢」を売ることができるのか?
- なぜ、ダイソンは「羽根のない扇風機」を開発できたのか?
本書は、イノベーションを起こして、ビジネスで勝ち残るための「思考法則」についての解説書です。これからの働き方は、大きく変わります。今まで通りに目の前にある仕事を頑張って働くのではなく、新しいイノベーションを起こしてソリュ―ション(問題解決)することが不可欠になります。本書はあなたの仕事にイノベーションを起こすために、トップ1%のできるビジネスマンだけが実践している「思考の法則」を著者、永田豊志氏が見つけ、分かりやすくまとめたものです。
「営業」「企画」「経理」「総務」「財務」「マーケティング」――など、あなたが何を専門に従事しているかはまったく関係ありません。すべてのビジネスパーソンに必要な「思考」だからです。ぜひ、本書を読んで、変化の激しい時代に、あなたがたくましく生き残れるよう役立ててください。
著者紹介:永田豊志(ながた・とよし)
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
ビジネスマンの「知的生産性の向上」をテーマに精力的に執筆・講演活動も行っている。近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』『プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術』『ノート・手帳・メモが変わる絵文字の技術』(中経出版刊)、『すべての勉強は、「図」でうまくいく』(三笠書房刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
Webサイト: www.showcase-tv.com
Twitterアカウント:@nagatameister
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