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「一夜漬け」では漬からない?!――睡眠と脳の仕組みを考える世界で通用する人がいつもやっていること(2/2 ページ)

一般的に、徹夜して勉強することを「一夜漬け」と言いますが、脳の仕組みから見ても、実はとても効率が悪くそんなにしっかりと記憶は「漬からない」ものなのです。一度覚えたらすぐに寝て、起きたらまた覚えるを繰り返す。記憶の定着を高めるためにも睡眠は必要なのです。

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覚えたらすぐ寝たほうが記憶の定着が高まる

 アメリカの心理学者の実験で、学習後にすぐ眠った場合と起きていた場合との忘却率の比較をしたものがあります(図:忘却曲線と睡眠の効果)。上の線が睡眠をとった場合、下の線が睡眠をとらなかった場合の記憶の保持率です。眠ると眠らないとでは、こんなにも大きな違いが出てしまうのです。

 学習直後に睡眠をとった場合、最初の2時間でほぼ半分は忘れますが、それ以降はさらに忘れることはほとんどありません。一方、起きていた場合は最初の2時間で記憶量は3割程度まで減少し、8時間経つと1割程度までに落ち込んでしまいます。

 つまり記憶を保持するためには、覚えた直後は眠ったほうが良いということが明らかなのです。「テスト前にはちゃんと寝よう」というのが、科学的に裏づけされた形になります。

 睡眠中は他の情報が脳にあまり入ってこないので、記憶が妨害されないためであるとも言われています。

 また、あまり長時間学習し続けると心身共に疲れてしまい、能率が上がらなくなります。さらに、ある程度の時間をかけて分散させて反復学習をしたほうが、まとめてやるよりも記憶がより定着しやすいというデータも出ています(図:復習を行ったときの忘却曲線)。

 したがって、学習後にすぐ眠るというのは心身を休めるだけでなく、記憶を固定させるという意味でも大切なことなのです。徹夜して勉強するより規則正しい生活を心がけ、しっかり睡眠をとって本番に望むようにしたいですね。


(次回は「感情を震わせて覚える」について)

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