敵対する人も、話し方次第で味方になる:あなたの話の9割は相手に伝わっていません(2/2 ページ)
ビジネスでもプライベートでも話し方1つで印象は変わり、その後の人間関係や出世をも左右することもある。誰からも信頼されて仕事を任され、親われて尊敬される。話し方次第で、充実した人生が手に入るのだ。
「聞き上手な人」が、「話し上手」になれる
「頭のいい人」や「話し方」というと、こちらが一方的に話すことをイメージするかもしれない。しかし、昔から「営業上手は聞き上手」などと言われているように、「聞き方」の重要性は説かれている。ここでは「話し方」のスキルを磨くあまり、コミュニケーションの原則を忘れるなということを強調しておく。
また、プレゼンテーションの際に前の発言者の意見を盛り込んだり、引用してあたかも自分の説のように言う「高等テクニック」がある。話し方というよりも、これは「よく聞いてまとめる」という、聞き方のスキルなのだと言ってもよい。
「話し方」そのもののスキルについてはもちろんのこと、そこには「聞き方」というコミュニケーションの両輪のもう1つがあることを忘れてほしくない。あくまでも、聞き方があったうえでの話し方ということだ。
じつは、相手の話をよく聞くというのはとても労力がいる。皆、自分の話をしたいからだ。だから「話し方教室」はあっても「聞き方教室」はないし、聞くことの大切さを痛切に認識しているのはカウンセラーやコーチのような、聞くことが仕事の人ばかりである。
あなたは、本連載を1つのきっかけにして、話し方のみならず聞き方にも磨きをかけてほしい。そうすれば、ただのスピーカーからプロのコミュニケーターとしての道を歩き始める。話し方もプロ、聞き方もプロというコミュニケーターに生まれ変わってほしいのだ。そのためのまず第一歩が「感情のコントロール」であり、「頭のいい人」に見せることになる。
話し上手になれば、頭がいいと勝手に思われる
仮に、上司からある事案についてどう思うか、AさんとBさんの2人が質問をされたとする。
Aさんは「私は反対です。その理由は3つあります。1つ目は……」と、パッと答えたとする。おそらくそれだけでも「こいつは頭のイイ奴」「仕事ができる」と思われることは多い。それだけ、話し方というのはアピールポイントにつながるのだ。
一方のBさんは慎重派だとしよう。じっくりと考えてから答えを出すタイプなので、即答は苦手。「えーっ、あのー、その点についてはですね……」としどろもどろといった印象だ。
もしかしたらAさんは、ただの思いつきで「3つにまとめる」というような話し方で発言しただけだったのかもしれない。
一方で、Bさんは何日もかけて考えたなら、すばらしいアイデアを持っていた可能性はある。しかし、話し方そのものはとても「頭のいい」印象からはほど遠い。
このように、中身の良し悪しにかかわらず、Aさんのようなタイプの人はどんどん出世していき周囲からも認められる。出世だけが成功の基準ではないし、人生の価値観や生き方でもないだろう。しかし、全く同じ実力、あるいは力が上なのに「認めてもらえない」というのは辛いものがある。
もちろん対外的にも「話し方」1つで実力者と思われたり、バカにされてしまったりなどというのは仕事以外でも多くあることだ。
もし「頭のいい人」と思われたとしたら、相手は決して軽くは扱わなくなる。さらに言うなら「この人を敵に回したら恐い」と思い、仲間にしてほしいと相手のほうからフレンドリーに近寄ってくるのである。
あなたの周囲の“実力者”を見てほしい。周りの人たちから高く評価され、尊敬して重んじている人を思い浮かべてほしい。その人が実力者と思われる要因は何だろうか? それは話し方なのだ。実力者はどんな世界にあっても、周囲の大勢よりも「話し方が全然違う」ものだから。
ポイント
- 話し方のテクニックを身につける以前に、感情をコントロールできるようにする
- あがる人、緊張する人は、実力の半分も出せない
- あがってしまうだけで、あらゆる“損”をこうむる
- 人の能力は「伝わる話し方」ができるかどうかで評価されてしまう
- 「伝わる話し方」をする人は、本当の能力以上の評価を受ける
- 「伝わる話し方」ができる人は、人を動かすことができる
- 感情をコントロールすれば、高評価、好(高)印象、高実績を挙げる人になる
- 感情のコントロールと話し方のスキルを身につければ、人生の成功を思うように手にすることができる
(次回は、「聞く力」と「話さない力」について)
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