話の中に数字を入れると“それらしく”聞こえる:あなたの話の9割は相手に伝わっていません(4/4 ページ)
ビジネスにおいて、相手の心に残る話し方をするのは重要だ。便利なのが、話の中に具体的な数字を入れることである。説得力が増す話し方として、押さえておきたいポイントだ。
得意分野をひとつもっておく
あなたは“高尚な趣味”というと、どんなことを思い浮かべるだろうか? 私は、クラシック音楽の話をする人、演劇やミュージカル、文学にワイン……。ややマニアックに、歴史や芸術、哲学、人生についてうんちくのある人は“高尚”なイメージを持つのだが、いかがだろうか?
まあ、これは俗物的な分類であるが、一理はあると思う。その分野で“高尚さ”を見せる人が「頭のいい人」と思われると感じてから、私も極力自分の体験した範囲で話に盛り込むようにした。
ただ、クラシックが高尚で演歌はそうではないのかとか、文学作品は高尚でホラー映画はそうではないのかということになると、“高尚さ”についても再考する必要はあるだろう。実は、ここで言うのは本質的な高尚さではなく、あくまでも「見かけ」「見せかけ」である。本当は、山登りでもゴハンの食べ方でも、歩き方でも、焼き物に車、写真……など、対象はなんでもいいのである。そのことに関して「一家言ある」ことが、本当の高尚さにつながると私は思っている。知識があってこだわりがある。そこに高尚さはある。
さて、ここでは「頭のいい人に見せる」ことがポイントであって、あくまでも「高尚な人」と思われたらいい。そのためには、先に私が“俗物的”としたようなジャンルの趣味の話をすること。それも、専門用語のときと同じく“さり気なく”言えたら完璧である。
以前私は、研修のはじまりで自分のことを簡単に紹介するときには、自分の趣味のことを話していた。
「ところで、私はプロレスやボクシングといった格闘技の試合を観るのが好きなんです。ただ、野球やサッカーに比べるとマイナーで、20人にひとりくらいのファンしかいません。今日は20人ちょっといますからひとりくらいは、ファンがいるでしょうか。後で休憩中に話にでも来てください」と言って少し笑わせることをしていた。
が、あるとき、研修の受講者から「松本先生、格闘技のご趣味というのは殺伐としていますね。なにかミュージカルのような高尚な趣味でもいかがですか?」と言われた。
それから、“頭のいい人”“知性のある人”と思われるためには、やはり高尚な趣味も必要かなと、ミュージカルなどを観に行くようになった。
「石原さとみの出ていた舞台『奇跡の人』を観たんですが……」とか、「キャッツを回転席(開演直後に半回転する席)で観ていまして……」などと話すと、やはり格闘技の話よりもはるかにうなずく人も増えたし、心なしか「見る目」も違ってくるようだ。それはそうだろう。「亀田和毅の左ボディが……」などと言うよりも、やはり青山劇場とか劇団四季のほうがイメージとしては高尚なのだから。
ということで、深い知識でなくても、話題として出していくことだ。
また、仮に話が深くなってきたときに、まったく知らないのでは格好がつかないから、ひとつの分野でいいから知識を深めて専門的なことも話せるようにしておこう。もちろん、くり返すがどのような分野であっても構わない。深い洞察力、知識のもとに「一家言」あったらそれでいい。
だから、私も格闘技や武道は、実は“通”であって、武道誌に連載記事を書いていたほどだ。いずれにしても、高尚と多くの人に思われているイメージの趣味を口にしていけばいい。
「さすがあの人、違うね」と思われたらそれでいい。
ポイント
- 数字を入れると話が分かりやすくなる
- たとえ話を入れると説得力が増す
- 専門用語はいきなり言って、後でやさしく説明し直す
- 高尚さは、そう思われているものをちょっと口にするだけで伝わる
(次回は、「人の心を動かす話し方」について)
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