「会社の経費で落ちるか」を気にしていると、自分に投資ができなくなる:ずっと「安月給」の人の思考法(2/2 ページ)
労働者が仕事で使ったお金は、必要経費として会社に請求できます。業務命令として使ったお金を会社が負担すること自体は問題ではありませんが、この「経費精算」に慣れてしまうと、自分のためにお金を使う――、つまり「投資」ができなくなってしまうのです。
安月給の思考法8.「人は見かけが9割」を理解していない
仕事で重要なのは中身です。アイドルやモデルではないので、外見であなたの査定が決まることはほぼありません。
しかし、「外見はどうでもいい」「外見はまったく関係ない」ということではありません。かつてのベストセラーにあったように、むしろ「人は見かけが9割」なのです。
「メラビアンの法則」というのをご存じでしょうか? これは、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが唱えた法則で、話し手が聞き手に対して与える影響力の強さを「言葉」「声」「態度」の3つの要素別に示したものです。つまり、3つのうち、どの要素から影響を強く受けるか、です。
- 怒った顔をして「ありがとう」と言う
- 自信なさげに「大丈夫です。問題ありません」と言う
など、「言葉」「声」「態度」で矛盾した情報を与えられたとき、聞き手はどの情報を優先して受け止めるか(内容を理解するか)について、このメラビアンの実験で明らかになりました。その結果がこれです。
- 視覚情報(見た目/表情/しぐさ/視線等)が55%
- 聴覚情報(声の質/話す速さ/声の大きさ/口調等)が38%
- 言語情報(言葉そのものの意味/話の内容等)が7%
つまり、あなたが「ありがとうございます」と言ったとしても、声のトーンや態度が「ありがとう」を表現していなければ、あなたの感謝は7%しか伝わらないということです。もしも態度がぞんざいであれば、何を話していても「そういう人」に見られてしまうということなのです。
先日、ある企業が主催しているセミナーに参加しました。このセミナーは無料で、その会社が見込み客集めのために行っていたものです。とても注目度が高い内容だったため、300人を超える人が参加していました。主催者としては期待以上の集客だったでしょう。
僕もセミナー内容をとても楽しみにしていた1人で、セミナーを聞く前から個別の依頼をすることを検討していました。ところが、セミナー開始前に気持ちが変わりました。セミナー開始前に事業責任者が挨拶をしましたが、この人が信頼できる人間に見えなかったからです。
彼はマイクを親指と人差し指の2本で持ち、歌手の松山千春さんのようにアゴにつけ、腕を組みながら挨拶をしました。上場企業が数十万円、場合によっては数百万円の商品をアピールする場としては明らかに礼を欠いていて、顧客を前にとる行為ではありませんでした。セミナーの内容は満足のいくもので新しい発見もたくさんありましたが、この「事業責任者」の第一印象を覆すことができず、終了後、僕は名刺交換もせずに帰ってきました。
同じことでも、それをだれから言われるかによって、納得したりしなかったりします。
同じ商品を提案されても、相手を信頼しているかどうかで買ったり買わなかったりします。長い付き合いであれば、相手は外見以外から「本当のあなた」を見つけてくれるでしょう。しかし、ビジネスの場では、それほど長い付き合いに発展できるケースは少ないです。また当然「新規顧客」とは、初めて会うわけです。
「いやぁ、長く付き合ってもらえば、自分のよさが分かると思うんで」と考えていたとしても、相手はそう思いません。第一印象で「信頼できない」「自分とは合わない」と感じた相手と、次も無理して会う可能性は低いのです。
ビジネスは中身が大事です。しかし、「見かけ」をないがしろにする人は、中身がいいということを信じてもらえないのです。
安月給の人の8つの思考法 まとめ
7.「会社の経費で落ちるか」をいつも気にしている
8.「人は見かけが9割」を理解していない
(次回は、「給料よりも大切なもの」について)
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