今考えなければ、一生が無駄になる「働く理由」:参謀の戦略眼
働き方が変わろうとしている今、自分が何を重視するのかを一歩引いて考えてみよう。ただただ、自分の働く理由を突き詰めることが、将来へつながるはずなのだ。
働き方が変わろうとしている。
米国では既に4人に1人がフリーエージェントだという。米国で起こることは、日本にも数年後に起こり得る。それに呼応するかのように、本屋に寄れば「フリーエージェント」「ノマド」「副業」「1億円〜」などといったタイトルの本が並ぶ。売れ行きもいいのだろう、減ることはないようだ。
そこに書かれていることを要約すれば、
「自分の好きなことをやるべきだ」
「このまま会社依存で働いていても、将来大変なことになる」
「そのためには、こうやればうまくいく!」
などといったことだ。私も嫌いではないので、この手の本は何冊か読んでいるが、どうだろう? これらの本を読んで、うまくいっている人はどのぐらいいるのだろう? 限りなくゼロに近い気がする。
「パーソナルブランディング」というのも流行の1つ。自分をブランディングして、個人としての価値を上げて、稼ぎを増やすというもの。ほとんどの人はおそらく途中で挫折しているはずだ。これが成功すれば企業でもブランディングの仕事が上手くできるはずで、そういう人はこういう本は読まないし、こんなことは考えないだろう。
「ノマド」は最も流行っているものの1つだろう。ノマドは自由に働けるイメージがあるが、本当にそうか? 企業の下働きにしかなっていないのではないか? これが本当に自由なのだろうか? 仕事がなければすぐに終わってしまい、金がなくなれば、不自由にしかならない。
「1億円〜」を冠する本も最近多い。とてもそれを読んで1億円の収入につながるとは思えない。
昔、ある人に聞いたことがある。成功体験を話す場合、多くは美化され、その人の固有のものでしかない。同じことをやって1億円を稼げるはずがない。
働く理由を真剣に考えてみる
では、どんな働き方がいいのだろう? この答えを探すためには、自分が1つ階段を上がってこの問題を解く必要がある。そもそも「自分は何のために働くのか?」ということだ。
- 生活のため
- 欲しいものを買いたいため
この2つがかなり多いのではないだろうか? 心底、その仕事が好きでやっている人は、かなり少ないはずだ。それほど、自分が好きなことで稼ぐということは難しいことなのだと思う。
- 家族を養うため
という人が仕方なく、疲れた顔で満員電車に乗って、仕事をする。遅くまで残業をして、家に帰り、寝て、また、次の日に満員電車に乗る……。そういう人が日本では大部分なのだと思う。だからこそ、こういう本が売れる!!
こういった現状を考えると、どういう働き方が1番望ましいのだろうか? 自分が最も重視するものは何かを考える必要がある。例えば、「生活維持」が最重視するポイントなら、今の仕事が面白くなるように仕事を見直すことだ。
どうすれば給料が上がるのか、どうすれば出世するのか、どうすれば会社や社会にとって有用な人になれるのかを考えることだ。結果として、自らの価値が上がる。その先に、もしかしたらノマドやフリーエージェントという道があるのかもしれない。
そこを抜きにしてノマドに飛びつけば、必ず失敗する。
例えば、「やりたいこと」を最重視するのであれば、まず今の環境でそれができないかどうかを考えるということだ。経理の募集をしていて、面接を行ったときによく聞くのだが、
「管理会計をやりたいので転職しました」
「マネジメントをやりたいので転職しました」
「財務もやりたいので転職しました」
などなど……。私はそういう話を聞くと、声には発しないが「前の会社でやればよかったのに……」と思う。できないことなどないはずだ。与えられることを待っていては、いつまでたっても望むものは来ない。自ら動かずして、得ることはない。
そういう人は転職しても、その仕事はできない。また何らかの不満を言って、転職するのがオチだ。今の環境でどうすれば、その「やりたいこと」ができるかを考える。それはノマドなど独立するより、圧倒的に楽なはずだ。
「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ!」
このように、自分が何を重視するのかを一歩引いて考えてみる。その際、人間関係など煩わしいことは考えないことだ。ただただ、自分の働く理由を突き詰めることが、
将来へつながるはずなのだ。
楽な道などない。楽を追求したところで、何も生まない。であれば、とことん突き詰めて、せっかくの人生をちゃんと生きることを考えたほうがいい。
※この記事は、誠ブログの細島誠彦ブログ【参謀の戦略眼】:今考えなければ、一生が無駄になる「働く理由」より転載、編集しています。
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