かわいがってもらうことが、年上の人と仕事するときのコツ:世界を変える80年代生まれの起業家(2/2 ページ)
若いときは実体験が少ない。だからこそ刺激を受けやすいところもあるが、1回やって失敗してしまうと怖くなってしまう。鈴木さんは、最初をうまくやるために年上の人にアドバイスをもらうのは大切だと話す。
関根佑介さんへの質問≫
Q1:仕事のやりがいを感じるときは?
自分が作ったサービスや製品が人に喜ばれたとき、人にインスピレーションを与えられた瞬間が最高に気持ちが良い。
Q2:日本の「就活」をどう思うか?
別に悪くはないと思っています。就活というよりは自分が本当にやりたいことを何か? と いった問いをより幼少期から持てる教育、環境が必要だなと思います。
Q3:日本人の長所と短所は?
- 長所:よくもわるくも空気を読めること。
- 短所:空気を読みすぎて、時代に置いていかれてしまうこと。
Q4:今の日本・日本人の課題は?
知識レベルでは負けていないので、間違いなくメンタルと実践での個人の力だなと思 います。学校での勉強が出来るってよりは、ストリートスマートな人がもっと必要。
Q5:世代を意識するか? 前後の世代との違いは? その理由は?
かなり意識しています。私の88〜89世代は経済成長を感じていないし、本来、あまりお金に対してハングリーじゃない。良くも悪くもお金だけじゃないもの(精神的なやりがい、世界へのインパクト)に惹かれる傾向がある。そこにお金稼ぎへのどん欲さがついてくるとさらに強いなと。
Q6:あなたにとってお金とは?
お金のために仕事はしないけど、お金があるから出来ることは本当に広がる。 そういう意味で起業当初よりはお金の重要性をかなり重視しています。
インタビューを終えて
今回登場した起業家の中で、一番若い1989年生まれだ。彼がWondershakeを立ち上げたときの、ローンチパーティに偶然参加して、ちょっとしたカルチャーショックを受けた。たまたま関係者が友人で僕を連れて行ってくれたのだけれど、驚いたのは、むちゃくちゃ明るくてポジティブだったこと。「みんなで世界を変えちゃおうぜー! イェイ!」って感じで盛り上がっていた。
日本も変わったな。こんな気分で起業する若者が出てきたのだなと驚きつつ、好感を思った。僕と同世代の起業家は、大学時代パーティ券を売って稼いで、ダイヤルQ2をビジネスにして儲けた「お金大好き」というイメージ。その下の世代は、ホリエモン騒動の反動かもしれないけれど、「優等生」で投資家メリットを優先して事業展開しているという印象。勝手な印象で世代をくくるのは乱暴だけれど、こんな軽いノリで「新しいサービスで世の中変えちゃおうぜ! 楽しいよ!」っていう起業志願者が出てきたのは、僕は良いことだと思っている。
ニューヨークのゴスペルライブで、黒人牧師がラップのように語る「説教」をしていた。牧師が客席と「長生きすればエイズの特効薬も見つかるから頑張ろう! イェイ!」みたいなやりとりをしていて、カルチャーショックを受けた。そのときのポジティブなエナジーを思い出した。そのくらい衝撃的で、実は本書を企画した動機の1つだったりする。
そんな世代が、趣味嗜好の近い人の出会いを創出するWondershakeをあきらめて、キュレーション機能とタイムセールスのエンターテインメント性を兼ね備えたECをやるというのには、時代のトレンドを感じる。「物を売る」というところにフォーカスしていることに、なるほどと思った。
会ってしばらくしてから、高校(国際基督教大高)の後輩だったことを知ったが、縁があるなと思った。デジタルネイティブ世代ならではの感覚で、ぜひ成功して欲しいと願っている。
著者プロフィール:
山口哲一(やまぐち・のりかず)
1964年、東京生。早稲田大学第二文学部中退。音楽プロデューサー、コンテンツビジネス・エバンジェリスト。
株式会社バグ・コーポレーション代表取締役。『デジタルコンテンツ白書』(経済産業省監修)編集委員。
主な著書に『プロ直伝! 職業作曲家への道』(リットーミュージック)、『ソーシャル時代に音楽を“売る”7つの戦略』(リットーミュージック)、『ソーシャルネットワーク革命がみるみる分かる本』(ダイヤモンド社・共著)などがある。
Web連載:
WEDGE infinity「ビジネスパーソンのためのエンタメ業界入門」
CREAweb「来月、流行るJポップ〜チャート不毛時代のヒット曲羅針盤」
誠ブログ:
関連記事
- 起業して「社長」になってもすぐに譲る、なぜ?――実業家・作野裕樹氏
実業家の作野裕樹氏は起業しても、すぐに「社長職」を他人に譲ってきた。多くの人は「社長」に憧れるものだが、なぜ作野氏はそんなことをするのか。その理由は……。 - 社長になるにはどうしたら? 必要な資金はスロットで――実業家・作野裕樹氏
六本木と熱海で会社を経営する作野裕樹氏は、小学校のころから「社長になるにはどうしたらいいのか」を考えていた。起業家育成にも力を入れているが、そのバックグランドにはさまざまな人生経験があった。 - 南場智子さんが語る、マッキンゼーの経験が役に立たなかった理由
社長を退任してから2年――。DeNAの創業者・南場智子さんが現場に復帰した。会社を離れていてどんなことを感じていたのだろうか。講演会で語った、南場さんの“今”をまとめた。 - 入社前に学生の身で起業し、一国一城のあるじを目指す
サイバーエージェントのグループとして起業したシロク。4人のメンバーがで始動した同社がオフィス作りに持つこだわりとは? - 「世の中の役に立ちたい」気持ちが強すぎる若手社会人が陥りやすいワナとは?
「今やっている仕事が世の中の役に立っていると思えない。人の役に立つ仕事がしたい」そう熱望するあまり会社を辞めてしまう若手社会人は少なくありません。やる気があり、当事者意識を持って仕事に取り組める人材だからこそのジレンマとは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.