スタンド型スキャナ「デスクショット」はどんな人が“買い”か?:キングジムから新たなユニーク製品(4/4 ページ)
ポメラやショットノートでおなじみのキングジムが、ユニークな形状のスキャナを発売した。気軽にどんどんメモを電子化できるようだが、画質は補正の精度はどの程度か。いくつかスキャンしてみた。
デスクショットは買いか?
デスクショットはとても手軽なスキャナである。確かに、ここまでリポートしてきたように、お世辞にも画質は良いとはいえないし、少なくともOCRを前提とする用途には向いていないと思う。しかし手軽なスキャナであり、設置しやすく、机の上の面積をほとんどとらない。撮影の操作も手軽でシンプル。やや立体的なものや、手書きのメモなどを電子データ(画像)で残すのに向いている。
こうした手軽なスキャンは、スマートフォンのカメラで行えばよいという意見もあるだろう。しかしスマートフォンはプライベートな写真が中心であり、仕事のこと、しかも会社の文書などは持ち込みたくない人も多いはずだ。会社の文書は、機密保護の面からも個人のスマートフォンで扱うのはためらわれるだろう。
デスクショットが1番向いているのは、ちょっとしたアイデアやメモを取り込んで、Evernoteなどに保存し、後で取り出してさまざまな形で活用するような使い方なのではないかと思う。企画出しなどの際などに斬新なアイデアを思いつくのは、PCの前に座っているときだけではなく、手帳に書いたアイデアスケッチやメモを、そのまま埋もれさせるのではもったいない。このスキャナは、そんなアイデアの数々を手軽に保存し、活用するようなシーンで役立ちそうだ。
結論としては、画質に期待せず、メモ書きを記録する用途に使うなら「買い」だと思う。
デスクショットの今後に期待
今回レビューしたデスクショットの今後に期待して、いくつか改善してほしいところをまとめておこう。
名刺読み取り精度の改善を
名刺の読み込みの際にOCRがかけられる程度の画質は確保してほしい。A4サイズにこだわららず、もう少し背の低い、メモや名刺サイズの専用モデルがあっても良いと思う。
画像処理の時間短縮
撮影ボタンを押してから、画像処理が終わるまでに約10秒ほどかかる。少なくとも3〜5秒ぐらいにはしてほしい。手軽なスキャナというコンセプトの製品には、スキャン後の処理の「キビキビ感」も重要だと思う。
外部要因への対策
今回リポートしたように、周囲の明るさが画質にかなり影響するので、そのあたりの品質ももう少し向上させてほしい。スマートフォン内蔵カメラの画質が向上し、コンパクトデジカメと競合するレベルになっている時代だからこそ、期待したい。
USBポートの位置やケーブルの改良
さらに細かいところでは、せっかく設置面積をとらないスキャナなのだから、USBケーブルのコネクタ位置をもう少し考えて、さらに設置面積を小さくしてほしかった。現状では、本体の後ろにコードが出る形だが、足の部分の上面にコネクタを置けば、USBプラグの挿入もしやすいし、設置面積がより小さくなると思う。本体が軽く、倒れやすいのを考慮し、付属のUSBケーブルは、さらにできるだけ細く、柔らかく、取り回しの良いものを望みたいと思う。
そしてデスクショットは、何といってもポメラやショットノート(SHOT NOTE)など、ユニークで便利な製品を次々に開発してきたキングジムの新製品である。私自身、ポメラの記事を書いた経験もあり、同社製品のファンである。
なお筆者が試した機種はかなり早い段階のロットだと思われる。デスクショットが今後、文房具を含む自社製品や、Evernote、Dropboxといったクラウドサービスとの連携などでユニークな改良が図られ、進化することを期待したい。
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