外注さんに失敗なく仕事をお願いする単純で画期的な方法を考えた:そろそろ脳内ビジネスの話をしようか
社内のプログラマーだけで開発を行った場合、時折どうしてもリソース不足を起こすことがあります。そんなときは外注の開発会社に仕事を依頼しますが、これがなかなか難しく、これまで結構失敗を重ねてきました……。
弊社は基本的にほぼ100%、社内のプログラマーだけで開発を行っていますが、時折どうしてもリソース不足を起こすことがあります。特にここ1年ほどは、消費税増税に伴うシステムのフルリニューアルなどの依頼が多く、慢性的な製造力不足に悩まされています。そんなときは外注の開発会社に仕事を依頼しますが、これがまあなかなか難しく、これまで結構失敗を重ねてきました。
今回、不肖わたくしめが「たぶんこれが正解じゃないか?」という案を考えてみました。同業者の人たちにとって、何かヒントになれば幸いです。
外注さんとうまくやるという定義
外注会社に仕事をお願いするとき、普通に考えるのは、
- 要件出しをしっかりやる
- 相互にきちんと認識を合わせる
- なるべく安い見積もり金額で発注
- 納期通り開発を完了してもらう
- 納品後も1年間はしっかり瑕疵担保をしてもらう
という、方向性だと思います。これがうまく行けば「成功」、うまく行かないと「失敗」と定義してよいのではないでしょうか。
しかし、現実的にこんなことが可能なのでしょうか?
まず「要件出しをしっかりやる」というところからして、私は不可能だと思います。そもそも元請である弊社からしてお客さんと要件を完全には詰めていません。
もちろん要件定義書は作ってありますが、そこには、例えば「ファームバンキング連動」とかいう項目があったりするわけです。しかし、それをどんなUIやアルゴリズムで実装するかは、初期段階では決まっていません。
業務フロー的にその前段階にある「請求締めをどうやるのか」「請求書をどう出すのか」「入金消し込み処理はどうやるのか」などが確定してからじゃないと考えられませんので、発注をもらう段階ではまったくもって曖昧です。
そんな状態でご発注いただくのも恐縮なのですが、逆にいうと、そういう順番に足場を固めていく作り方をしないと、使い勝手のよいシステムはできないと思っています。契約前に細かい機能の定義まで決めて、そこに書かれているものは実装するし、無いものは実装しない――、みたいなVモデルチックなことをすると、正直ロクなものになりません。
こういう仕様の不確実性があると、外注さんはリスクバッファを見ますので大抵見積もりは高めになっていきます。これは仕方のないことで、これを回避しようとするとウォーターフォールの滝壺が頭をよぎりますが、そっちにだけは絶対に進んではいけないと思います。
開発は八合目からが一番大変
また「納期通り開発を完了してもらう」という、当たり前のこともなかなか難しいです。特に、業務システムなどではβ版をお客さん(現場)に公開し、そこからフィードバックを受けて最終的な理想の形に直していくというのが一番大変です。
システム開発のプロジェクトを登山に例えるなら、β版納品は八合目ぐらいに相当するような感じです。そこから山頂までがとても険しい道のりで、精神的にはちょうど半分くらいといった感じでしょうか。
社内のリソースでやっているのであれば、ワッショイワッショイで乗り切ってしまうのですが、そこが外部の会社を使っているとそうもいきません。外注さんとしてはその頃からだんだん「そろそろ終わりでいいんじゃね?」「もうここから有償だとユーザーさんに言ってくれよ」という雰囲気が漂い始めます。
しかしここで手を抜くと、何となく正解に近いんだけど全く使えないという残念なシステムになり、顧客満足度も大きくダウンしてしまいます。
外注さんとうまくやっていく画期的方策
そこで、こうならないために考えた画期的方策を考えました!
外注さんにはβ版まで付き合っていただいて、あとは社内で巻き取る
これです。とても単純なことですが。逆に言うと、この方策しか社内で作るのと同じくらいの価格で、ちゃんと使えるシステムを円満かつスピーディーに開発し、納品後のアフターフォローも責任をもって行う方法はないのではないでしょうか?
しかし、この方策は単純ではありますが、実際やろうとすると容易なことではありません。開発の一番忙しいβ納品の頃に引き継ぐわけですから、それがスムーズにできなければ、スケジュールに大きく響きますしコスト的なロスも発生してしまいます。
ということで、もうちょっと考えました。
まず弊社できちんと開発フレームワークを整備し、それをすべて外注さんにお渡しして、サンプルソースとチュートリアル用意して、質問受付担当者もアサインして「これで作ってください」ということにしようと。
こうすると、長年培ってきた技術は流出してしまいますが、それをかたくなに守っても大したメリットはありません。それよりも、外注さんに積極的に使ってもらって「ここおかしくないですか?」「こうしたらどうですか?」とフィードバックをもらったほうが絶対によいはずです。
先日のシゴトビトのインタビューでも再認識しましたが、ものづくりの会社というのは基本的に小規模であるべきで、そういう会社が案件によってくっついたり離れたりして、リソースを融通しあい、またノウハウを提供し合うべきだと思います。スクラッチ開発の会社は、1社で市場のすべてを食べきってしまうことなど出来るはずがないのですから。(島田徹)
※この記事は、誠ブログの外注さんに失敗なく仕事をお願いする単純で画期的な方法を考えたったより転載、編集しています。
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