ITmedia ビジネスオンライン

ニュース
2005/04/20 18:13 更新


入力システムの統合目指す「T9」の狙い

新T9で、音声認識や手書き入力への対応を発表したTegic。究極の狙いは入力や出力を取りまとめ、統合製品として提供することにある。家電への対応も積極的に進める。

 シングルタップの文字入力インタフェースとして、全世界で高いシェアを持つTegic Communicationsの「T9」。国内でも、NECやパナソニック モバイル製のFOMA端末に搭載されていることで知られる。

 同社が発表した次世代T9「Tegic Mobile Suite」は、マルチモーダルユーザーインタフェース(MMUI:Multi Modal User Interface)を備え、シングルタップのボタン入力だけでなく、音声認識、手書き入力などを統合した入力製品となっている(4月20日の記事参照)

 Tegicの狙いを副社長兼ジェネラルマネージャーであるクレイグ・ペディー氏に聞いた。

tegic.jpg

「夢は『2001年宇宙の旅』のHALLを作ること」と話す、クレイグ氏

究極は「入力と出力を統合して1つの製品に」

 Tegic Mobile SuiteのT9では複数の入力方法を用意した。携帯電話が多機能化し複雑になるなかで、入力方法を工夫することで携帯の使い勝手を向上させるのが狙いだ。

 従来、端末メーカーが複数の入力方法を用意しようとすれば、音声認識から手書き入力まで各社から集めてこなければならなかった。Tegicは、これらを1つにまとめて提供することで、端末メーカーの負担を軽減できるとする。

 「この10年間、Tegicは携帯のユーザーインタフェースに関わってきており、深く理解している。世界の46言語をサポートでき、各種の入力も出力も1つで済む」(クレイグ氏)

 実際の音声認識や手書き入力のエンジンは、他社の技術をライセンス導入する。「特に音声入力技術はクリティカルだ。ベストなものを使わないといけない。その分野の専門家と組んでやろうと思っている」とクレイグ氏。具体的な提携先は明かさなかったが、各種の入力エンジンを取りまとめる“入力プラットフォーム”をT9が担っていくかっこうだ。

 音声認識やタッチタイプを組み合わせたデモンストレーションでもアピールしたように、究極の狙いは単に入力方法を多様化させるだけではない。いろいろなアプリケーションが連携するためのプラットフォームを目指す。

 「携帯に向かって、『京都の天気はどうなっているの?』と話しかけると、アプリケーションが天気のデータをダウンロードしてくる。それをテキストで表示してもいいし、機種によっては音声で伝えてくれてもいい。究極的には、入力と出力を統合し、1つの製品として提供する」(クレイグ氏)

 出力の部分は、今後の機能追加で対応しているが、ヒンドゥ語やアラビア語のフォントなどが表示できるような仕組みを盛り込むことを想定している。

携帯から家電へ

 こうした各種の入力方法や複数の言語をサポートする統合製品の需要は、今後ますます増えると見込まれる。

 既に、国内企業でも海外向け携帯電話ではT9の採用が普通になってきている。現在T9はヒンズー語やウルドゥー語、ベンガル語などインド系の言語を含む世界46言語をサポート。「ほかに切り開くべき言語はなくなってきている」(クレイグ氏)状況にあり、TegicのT9を使うことで、各言語への対応が容易になるからだ。

 現在は携帯に注力しているが、今後は家電への搭載も進める。「ゲームボーイのようなポータブルゲーム機、カーナビゲーション、DVDレコーダー、カメラ……。携帯を超えて、いろいろな製品に開発を広げていきたい」(クレイグ氏)

 既に中国向けにT9搭載カーナビゲーションの開発が進んでおり、まもなく出荷の予定だという。

 これまで家電は低パフォーマンスなCPUを積むことが多かったが、最近では機能の複雑化により、ARMなどパワフルなチップを使うことも増えてきている。それに伴って、ユーザーインタフェースも複雑化した。こうした分野には、入力を統合パッケージとして提供できるT9が有効だという考えだ。

日本市場はパイオニアマーケット

 Tegicは、携帯電話市場の急激な成長が見込まれるアジア地域に力点を置いており、香港などにもオフィスを開設した。注目するのは中国やインド市場だ。「これまでは米シアトルで開発していたが、ローカルな市場に力を入れている」(クレイグ氏)

 日本市場は、規模が小さい割に競争が激しく、出荷を伸ばすメインの市場にはなりにくい。しかし「日本はパイオニアマーケット。iモードや3Gなども日本からスタートした。ゲームや家電のメーカーも日本には数多い。事業に成功するには、この市場を把握していなくてはならない」(クレイグ氏)と、重要性を話した。

[斎藤健二,ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.