子供を持つ親は不安が多い。子供に携帯を持たせたりしては、すぐに犯罪に巻き込まれるのではないかと心配になる。だが、きちんとした教育があれば危険も緩和されるのでは――。そんな考えのもと、ドコモが開催するのが「ケータイ安全教室」だ。
ドコモが講師を派遣し、関東地方の小、中学校、高校の生徒を対象に、携帯を使う際のマナーやモラルなどを教える(4月25日の記事参照)。最大140校での実施を考えており、5月20日には初の授業が行われた。
第1回目の授業現場は、東京都北区にある、区立赤羽台西小学校。実際に“授業参観”して、どんな雰囲気か探った。
今回、授業を受けたのは4年生の1組と2組のみなさん。みな明るく、報道陣が部屋にいるのを見て「すごい!」と嬉しそう。
授業の司会進行を務めたのは、ドコモ派遣の若い女性講師だ。「ドコモでは今回“派遣チーム”を結成しているが、その中でプレゼンの上手いプロを用意した」(ドコモ)という。女性の語り口は「みなさーん、今日は携帯をお勉強しましょうね」といった感じで、なかなかソフト。
冒頭、講師が「この中で携帯を家などで使ったことがある人はいるかな?」と聞くと、すぐさま大勢が手を挙げた。事前に「クラスの携帯所持率は30%」と聞かされていたが、さすがにこれだけの手が上がると「ほう……」という空気が報道陣に漂う。
ただし、授業の流れで出た「出会い系サイトって知っている?」という問いに手を挙げたのは3〜4割程度。「チェーンメール」を知っている児童は40数人中、2人ほどだった。やはり、携帯の悪い面の知識には乏しいようだ。
授業の内容は、大まかに分類すると3部構成。スライドにアニメを映しながら、「今の携帯がどれだけ便利か」を説明するのが第1部。携帯の危険性を説き、「どう対処すべきか」を説くのが第2部。未来の携帯サービスを紹介するのが第3部となっている。
“第1部”と“第3部”は、なんだかドコモの宣伝のようだったが、児童はそれなりに興味深そうにしていた。携帯がお財布代わりになる……と講師が話すと、「おサイフケータイだ!」との声が。「あー知ってる」「あー、あるね」などと声が続き、おサイフケータイの市場への認知度が確認されたかたちになった。
第2部にあたる携帯を利用した犯罪への対策には、最も長く時間が割かれた。講師は4つの約束をしてほしい、と前おきして、「迷惑メールに返信しない」「チェーンメールを転送しない」「雑誌などのデジタル万引きをしない」「電車では大声で通話しない」ことを約束させていた。
ひととおり説明が終わったあと「じゃあ復習クイズをしてみよう」というと、児童はみな一生懸命手を挙げる。正解すると、やはり得意そうだ。「みんなこの約束を守れるかな? 守れる人!」という問いかけには、全員が手を挙げていた。学級崩壊の学校もあると聞くが、小学生も案外素直なものだなと、記者は妙に感心した。
授業が終わった後、何人かの児童に直接話を聞いてみた。
ある児童は、携帯を使ってメールをするのだと話す。「メールは1日10回までってお母さんに言われている。それを超えたら、お母さんに言わなきゃいけない」。メール相手は例えば、転校してくる前の学校の友達だという。
ある児童は、ミニゲームをする、あるいは音楽も聴くとコメント。音楽とは短い着メロのことかと聞くと、「着メロとカラオケ」と答える。1曲まるごとの“着うたフル”のことなのか確認しきれないが、コンテンツも利用しているようだ。
携帯を持っていない児童も、もちろん多い。持っていない子はみな「お金がかかるから、お母さんに中学になってからと言われている」「塾に行くようになったらと言われている」と話す。本当は使いたいか聞くと「使いたいー」。
使いたくない、という子供もいて、その理由は「いつも持っていてもすぐなくすから」とのこと。もっとも、この理由にも親の意向が働いているようだ。
今回の授業で、小学生にも携帯の文化がかなり浸透しつつある印象を受けた。「携帯に触れさせないようにしても、もはや無理。それならしっかり安全な使い方を教えたい」とは、赤羽台西小学校関係者の弁だった。
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