ITmedia 携帯電話向けの放送サービスとしては、現在、地デジ1セグ放送が注目されています。同じモバイル向け放送サービスとして、競合する事はないのでしょうか。
溝口 (地デジ1セグとは)共存・共栄を目指しています。実際のサービス的にも競合することはありません。例えばサービスモデル的には、地デジ1セグは無料ですが、(08年までは)固定テレビ向け放送のサイマル放送です。一方、我々は多チャンネル・有料放送ですので、ユーザーから見たときも競合関係にはならないでしょう。
ITmedia しかし、1セグが無料放送というのは、有料サービスのモバイル放送にとって不利に働きませんか。
溝口 いいえ、そうは考えていません。まず大きな要素として、我々にはインフラ・技術的な強みがあります。例えばモバイル向けサービスでもっとも重要なエリアを見ても、地上デジタル放送の設備を使う1セグは、当初はかなり受信可能エリアが限定される可能性が高い。
ITmedia 衛星を使うモバイル放送は、全国エリアを一気に整備できる。ここが強みである、と。
溝口 モバイル放送では衛星だけで85%の面エリアをカバーします。残りの部分は山陰であったり、ビル街であったり、屋内といった部分ですが、ここは衛星波を再送信するギャップフィラー網によってカバーしている。このハイブリッドなシステムにより、モバイル視聴で最大の課題となるエリア問題に取り組んでいます。
ITmedia ギャップフィラー網はモバイル放送の特徴的な設備ですが、一方でエリア整備のコストや時間がかかるのではないでしょうか。
溝口 ギャップフィラーの強みは電波を変換・中継しているだけという点です。(光ファイバーなど伝送路は必要なく)電源さえあれば設置できますから、比較的容易に、エリア効率のよいポイントに設置していくことができます。
ITmedia なるほど。地上波放送の補完局を整備する場合は、バックボーン回線の敷設や維持コストが必要になりますが、その点においてモバイル放送のギャップフィラーは必要ない。
溝口 ギャップフィラーは中型と小型のものを用意しており、今後は家庭やビルの奥まったところに電波を送る小型中継器の投入なども考えています。これらエリア整備の強みが、そのままモバイル放送のサービス訴求力の強みになります。
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