ITmedia コアアプリケーションとは異なり、ユーザーインタフェースに関しては複数の方向性をアナウンスされているようにも見えますが。
野崎 まず、弊社が以前から進めていた「BREW UI Toolkit」については、これに対応した世界初のGUI開発ツール「anyWarp for BREW」が日立ソフトから出荷されたので、7月に開催されたワイヤレス・ジャパンの弊社ブースで展示・デモしてもらいました(関連記事/2)。ユーザーインタフェースの開発を大幅に効率化するツールになっています。もう1つ、この動きと並行して進めているのが「uiOne」です。これはアプリのコードをほとんど書き換えずにユーザーインタフェースを変更できるソリューションで、英国のTrigenixを昨年買収したことによって得たものです(6月3日の記事参照)。
ITmedia 英国ということは、元々はCDMAではなくGSM向けに開発していたものなのですか。
野崎 その通りです。TrigenixがGSM向けに開発していたTrigplayer、Trigbuilder、Trigpublisherというユーザーインタフェース開発・配信技術をBREWのクライアントとサーバシステムに統合することで、BREW上でのユーザーインタフェース開発環境を強化するのが狙いです。これは、ユーザーインタフェースを「着せ替え」的に変えるのみではなく、レイアウトや機能の有無も簡単にカスタマイズできます。よって、中学生向け端末や、企業内部向け端末において「本来必要ではない機能にアクセスできない」ようにカスタマイズした端末を提供できるわけです。
野崎 どの携帯電話メーカーもキャリアも、コストを抑えながらいかに魅力的な端末を作るかがポイントだと思います。これに対する弊社の回答が「シングルチップソリューション」です。開発プロセスの効率化、端末の大きさ、バッテリーの問題、すべてにおいて「シングルチップソリューション」が有効です。
ITmedia その中で「BREWのプラットフォーム化へ軸足を移す」ということが意味をもつということですね。BREWがドコモのiアプリの世界にアプローチし始めたという昨今のニュースに注目が集まっています。クアルコムとしてはどういうプランを持っていますか。
野崎 7月に出した、ACCESSと弊社のプレスリリースの通りで、「i-mode Global Profile」が弊社のチップに対応しました(2004年9月22日の記事参照)。もちろんBREW上で構築されています。端末メーカーが海外のiモード市場向け端末を迅速に開発可能になるとともに、これが「BREWのプラットフォーム化」の具体的なステップの一歩と言えると思います。
ITmedia このステップがいろいろな携帯上のビジネスソリューションに与える影響についてどうお考えですか。
野崎 プレスリリースにも書いたとおり、今回のソリューションはあくまでもACCESSが提供するもので、弊社は基本的にチップサプライヤーの立場で対応します。よって、弊社のチップを搭載したいという顧客に対応することが大事で、シェアを上げることでビジネスメリットを出していきます。
ITmedia BREWの「競争」相手といえば(Javaではなく)Symbian OSを挙げる方が増えてきていますね。BREWの強みはどこにあると思いますか。
野崎 「上から上まで」、つまり「通信モデム」としての基礎から、アプリの実行環境としてのBREWまでをフルに提供できることにあると思います。しかも、これらをシングルチップの世界で提供できるということに、差別化要因があります。
現在の携帯では、コアアプリケーションは「たまたま」あらかじめ搭載されていますが、例えば、まっさらな携帯電話を店で売っていただいて、そこで直接、または、ダウンロードで必要な機能をのせていくことが考えられます。もちろん、ハードウェアの制限があるでしょうが。
ITmedia 私はBREWとuiOneによる「フルカスタムケータイ」は、利用者の安全、特に弱者の保護に大きな効果を持つと思っています。例えば、お母さんが小学生の子供に携帯電話を買ってあげる場合などに、小学生向きではない機能が初めからない上、勝手に機能を追加できない、しかも悪質な情報からの保護プログラムが自動的に更新されるような携帯電話を用意してあげられるわけですね。
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