では韓国のゲームメーカーは、ポータブルゲーム市場にまだ本腰を入れていないのか……というと、実はそうでもない。特に携帯向けゲームは韓国メーカー製が強く、韓国内のみならず、日本も含む海外にも多く輸出されているのだ。
韓国メーカーの中で最も海外進出に積極的な動きを見せているのがGamevilだ。同社のゲームは日本に進出しているものも多い。水切りを続けた長さを競う「ぽんぽんストーン!」や、走り続ける人物を、携帯電話を縦横に傾けながら操作する「NOM」などはその代表例だ。
特に「ぽんぽんストーン!」は海外での評価が高く、「GSM Association Awards」において「Best Made for Mobile Game」を受賞したのをはじめ、CingularやVerizon Wireless、Vodafone、T-Mobileなど、海外約40カ国の有力キャリアにサービス提供している。画期的なゲームを次々と発表し勢いを増している同社は、市場的にも大きな北米に3月に子会社を設立し、より本格的な開発および流通を展開する意向だ。
PSPなどのポータブルゲーム機と、携帯電話が人気を二分している韓国のポータブルゲーム市場だが、最近ではそのどちらにも対応してしまおうという新たな動きも出ている。
モバイルゲーム・プラットフォームの「GVM」などを開発しているSinjisoftは、WIPI環境においてコンテンツの実行を可能にする、ゲームやマルチメディアに特化したソリューション「GNEX」を提供している。Sinjisoftによると、GNEXは現在、韓国内の携帯電話約1700万台に搭載されているが、最近に入ってCENIXのポータブルゲーム端末「GMP-M6」に、GNEXを搭載することが決まったという。
「GMP-M6」とは、ゲームはもちろん音楽や画像、動画再生機能などを持つポータブル・マルチメディア・プレーヤーで、いわば「韓国版PSP」ともいえる存在だ。これにGNEXが搭載されることで、GMP-M6で携帯電話向けモバイルゲームも遊べるようになる。
GMP-M6自体に通信機能はないため、PCでCENIXのWebサイトにアクセスしてゲームをダウンロードし、USB経由で転送・実行することになる。GMP-M6向けのゲームは、携帯電話のゲームから移植されたものを含め現在7種類が提供されているが、GNEXの搭載によって多くのゲームを楽しむことができる可能性が高い。
持ち歩いて楽しめるポータブルゲームは、これまで韓国ではあまり活発とはいえなかった。しかしハイエンドな端末や魅力的なゲームが多く登場したことで、市場が大きく拡大する兆しが見えている。韓国のポータブルゲーム市場は、まだまだ発展する可能性を秘めているといえるだろう。
プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。
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