優れたサービスは「関西のお客さん」が育てる――スルッとKANSAIに聞く(後編)Interview(2/5 ページ)

» 2006年04月12日 00時26分 公開
[神尾寿,ITmedia]

 このようなポストペイの便利さは、ユーザーの利用満足度や継続利用率の高さにも繋がっている。それを如実に物語るのが、関西地区におけるサークルK/サンクスでのPiTaPa決済の対応だ。

 「実は関西地区のサークルK/サンクスでは、以前からPiTaPa決済を試験的に導入していました。しかし、(サークルK/サンクスが)全国規模でEdy採用になり、PiTaPa決済の対応は打ち切られるという話になった。すると、(PiTaPa導入)店舗のオーナー様が『それは困る』と猛反発されたのですね。PiTaPa決済を利用するお客様が多くて、今さらやめられないという話になって、今でも一部のサークルK/サンクスではPiTaPa決済が残っています」(松田氏)

ポイントで公共交通の利用促進を目指す

 ショップ de ポイントにはもう1つ重要な役割がある。それが自家用車を利用するユーザーに対して、公共交通への乗り換えを促すというものだ。

 「都市部におけるマイカー利用の抑制は、渋滞緩和はもちろん、(京都議定書が掲げる)Co2排出量削減といった環境貢献の面でも重要になってきています。しかし実際の都市構造は、必ずしも(都市部への)マイカー流入を抑えるようなものになっていません。

 例えばヨドバシカメラ梅田店は、大阪の一等地にあり、12階建てのビルの4階分が駐車場なんです。これは『大規模店舗立地に基づく駐車場付置義務条例』という法律で定められているからなんです。しかし、都市部に大きな駐車場があるということは、周辺からのクルマの流入が増えるということになります。周辺の道路は変わりませんから、当然ながら渋滞は増えます。環境面ではマイナスなのです」(松田氏)

 そこで松田氏が注目したのが、店舗付設の駐車場が「一定額の買い物をすると駐車料金無料」になる点だ。これはクルマ利用者にとってメリットがあるサービスであるが、逆に公共交通機関を使った来店客には何らサービス還元がないことになる。結果として“クルマの方がお得”で、都市部へのマイカー流入を促す要因にもなる。

 「ショップ de ポイントを作った背景には、公共交通の利用者にも(マイカー利用者と同等以上の)サービス還元をするという目的がありました。ショップ de ポイントは商業施設でお買い物をされた金額の一部が、公共交通利用に還元されるという仕組みです。つまり、商業者から見れば『駐車場の無料券を渡す』のと同じ考え方なんですね。しかも環境貢献につながる。マイカーから公共交通への乗り換えを促進させる狙いがあるのです」(松田氏)

 PiTaPaにとって「クルマ社会との共生」は重要なテーマであり、ショップ de ポイント以外にも様々な取り組みを行っている。例えば、コインパーキング最大手のパーク24が運営する「タイムズ八尾南駅前」では、PiTaPa利用者に優待料金を適用する“パーク&ライド”の取り組みを行っている。同様の優待料金の設定は今後も増える予定であり、大阪中心地への流出入に伴う渋滞緩和を図る。また、一部のPiTaPa提携カードのイシュア(カード発行会社)にトヨタファイナンスが参加するなど、自動車業界との連携も積極的に行われているようだ。

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