ヤフーと東日本旅客鉄道(JR東日本)は5月22日、Suicaのネット利用などを含む包括業務提携を行うことで合意した。来年春をめどにネットショッピングの決済をSuicaを使って行えるようにするほか、Suica機能を持つ提携クレジットカードの発行とポイント交換なども始める計画だ。
Suicaがネット決済に対応するのは初めて。JR東日本は「駅ナカ」で使われているSuicaの「街ナカ」利用を進めており、「ネットサービス最大手のヤフーと提携することで、これから拡大するネットにもSuicaが入っていく。Suicaの大きな成長の第1歩だ」(見並陽一IT事業本部長)としている。
提携ではまず、Yahoo!ショッピングやYahoo!オークションでの代金決済をモバイルSuicaで行えるようにする。将来はカード型Suicaでの対応も計画している。将来は、オークションで落札した品物をJR東の駅ナカ店舗で受け取り、店頭でSuica決済する──といった仕組みの整備も検討する。
また2007年度の冬をめどに、「Yahoo!JAPANカード」と「ビュー・スイカ」を一体化したカードを発行する。クレジットカードとSuica機能に加え、モバイルSuicaやSuicaオートチャージサービスにも対応する。ショッピング利用でYahoo!ポイントが貯まり、さらにYahoo!ポイントを「SuicaSF」に変換して運賃支払いなどに使えるようにする。将来はポイントの相互交換も検討していく。
Suicaの発行枚数は4月時点で1630万枚。JR東日本は「生活サービス企業」を掲げ、鉄道運賃支払い用ICカードとして出発したSuicaを、汎用電子マネーとして広く普及させる戦略を進めている。まず駅ナカなどの自社グループの店舗から導入し、現在は1日当たり28万件の利用があるという。街ナカへの拡大も図り、昨年12月にはイオングループとSuica対応で提携した(関連記事参照)。
ヤフーとの提携でネット決済にも進出し、さらにSuicaの汎用性と利便性を高める。JR東の見並IT事業本部長は「Suicaを切符として使っているユーザーとネットのユーザーはだぶっていると思う。既存のSuicaユーザーにとっても利便性が高い」と話す。
ヤフーは若年層やネットショッピング未経験者などへの利用拡大を見込むほか、購入物の受け渡し拠点などとしてJR東が持つリアル店舗の活用も期待する。ヤフーの喜多埜裕明COO(最高執行責任者)は「ネットを介して活動しているが、出口をリアルに求める必要もある。ヤフーの出口としてJR東日本とうまくやっていきたい」と話し、ヤフーが力を入れている地域情報サービスでの連携も考えている。
ただ、現状の携帯電話端末とモバイルSuicaによる決済には技術的な課題もあり、両社で検討していく。また両社の提携は排他的なものではなく、例えばSuicaと楽天、ヤフーとEdyといった提携はありうるとした。
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