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» 2006年05月23日 16時42分 公開

道路公団民営化と、iモードビジネスモデルの関係とは?――西日本高速道路 Interview: (2/3 ページ)

[神尾寿,ITmedia]

“大きなアイランド”で実験を行う

 旧道路公団時代から始まったFeliCa決済導入への取り組みであるが、検討時期が民営化に重なったこともあり、分割された各高速道路会社の足並みに乱れも生じた。

 「当初は各高速道路会社が一緒にFeliCa決済を導入するという考えだったのですが、分割されてしまうと経営者が別々になりますので、意志決定のスピードや考え方が変わってくる。

 また、これは西日本高速道路の考え方ですが、正式導入に際しては、やはりどこか1社(のFeliCa決済)だけではなく、競争性が必要となりました。そこで今回の九州エリアの実験では、(Edyだけでなく)4つのFeliCa決済方式を導入することになりました」(鈴木氏)

 このような背景事情があり、西日本高速道路ではビットワレットのEdyに加えて、三井住友カードとドコモの「iD」(11月8日の記事参照)、JCBの「QUICPay」(2月2日の記事参照)、UFJニコスの「スマートプラス」(2月22日の記事参照)などを含めて九州エリアで実験を行うことになった。一方、中日本高速道路など他の高速道路事業者では、当初はEdyだけを導入する動きも出ている。

 「今回、実験という形でスタートしたのは、その有用性に期待しつつも、電子マネーなどFeliCa決済の将来がどうなるか、需要が本当にあるかという点で、まだ予測しきれないという理由があったからです。そこで九州エリアで限定して、FeliCa決済を導入するという形になりました」(鈴木氏)

 西日本高速道路の管轄エリアは広いが、なぜ「九州」が選ばれたのだろうか。その理由として鈴木氏は、九州の特性をあげる。

 「九州はこういった(社会)実験に適した土地です。まず、九州にはそれなりの経済規模がある。さらに九州の道路交通は92%が域内交通であり、本州との連絡は8%しかない。つまり、『アイランド』として独立、完結しているのです。お客様が九州の中で移動していますので、他地域との流出入をあまり考えずに、新たな技術・サービスを実験できるというメリットがあります」(鈴木氏)

 あまり知られていないが、高速道路SA・PAでのFeliCa決済採用では、九州より先に沖縄でEdyが導入され、成功を収めている。今回の九州エリアの実験は、小さなアイランドである沖縄から、大きなアイランドである九州に規模を広げて行われた格好だ。むろん、その先に「本州(での導入)がある」(鈴木氏)ことは間違いない。

 交通系の社会実験はある程度の閉鎖性があった方が効果測定が行いやすい。その点で、九州エリアでの今回の実験は、ロードサイド市場におけるFeliCa決済の需給を計る上でも重要な取り組みと言えるだろう。

SA・PAを民間サービスの「場」にする

 道路公団民営化によってビジネスモデルの転換を余儀なくされた各高速道路会社にとって、SA・PAの収益力強化、商業転地は急務の課題だ。利便性向上のためにFeliCa決済に目を向けた西日本高速道路が参考にしたのが、NTTドコモのiモードが取ったビジネスモデルだという。

 「NTTドコモはiモードで、様々な企業が参加し、コンテンツビジネスが成立する『場』を作りました。この仕組みに多くのプレーヤーが参加し、ポジティブフィードバックの構造が生まれたわけですが、この考え方を我々も学ばなければならないと考えました。今回のFeliCa決済への実験を通じて、SA・PAに出店するテナント企業と決済サービス事業者すべてのメリットが拡大する仕組みを作りたい」(鈴木氏)

 その端緒として鈴木氏が挙げるのが、各FeliCa決済サービスと連携した利用促進キャンペーンだ。例えば、4月の実験開始時にはFeliCa決済事業者すべてが加入者獲得キャンペーンをSA・PAで実施。ビットワレットのEdyは、全日空がダブルマイルキャンペーンという形で利用促進を後押しした(4月4日の記事参照)

 「FeliCa決済サービス事業者に対しては、『高速道路で使える』ことはよいPRになると思います。SA・PAの少額決済比率が高いことも、FeliCa決済の利用促進に貢献するでしょう。

 一方で、沖縄(のSA・PA)でEdyユーザーの顧客単価が現金ユーザーより高いことが実証されていますので、FeliCa決済導入では売り上げ拡大に期待したい。SA・PAという場の価値を向上、そこでのビジネスを拡大することが、我々とテナント企業、そしてFeliCa決済サービス事業者の皆さんすべてのメリットに繋がると考えています」(鈴木氏)

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