ロードサイド決済市場の中でも、少額分野の取り扱いが多い、高速道路上のSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)。4月1日に西日本高速道路と西日本高速道路サービス・ホールディングスは、九州エリアのSA・PAの53カ所を使ったFeliCa決済実験を開始(4月4日の記事参照)。5月18日には中日本高速道路が東名・名神、中央道などへのEdy採用を決定するなど、にわかにこの分野の動きが活発になっている。
高速道路会社はFeliCa決済をどのように見ているのだろうか。今日の時事日想は特別編として、西日本高速道路関連事業本部関連事業部開発担当部長の鈴木卓氏にインタビューを行い、高速道路ビジネスの現状と、FeliCa決済に対する見方を聞いた。
高速道路でのキャッシュレス化への取り組みは、最近になって始まったものではない。高速道路会社各社へ民営化される前の道路公団の時代から、SA・PAでのクレジットカード利用の取り組みは行われていた。
ロードサイドビジネスでは、“上流”に当たるガソリンスタンドがハウスカードの普及と利用促進に熱心であり、ドライバーのクレジットカード所有率は高い。また最近では、ETC利用の必要性もあり、クレジットカード文化は他の分野よりも根付いている。
「(SA・PAで)クレジットカードを使える状態にしたのですけれども、わずか0.6%程度しか使われていない。なんで使われないのか、と調べてみると、お客様の平均単価が(SAの)ガソリンスタンドを除けば、500円前後という状況だったのです。この金額では、クレジットカードが使われないのも無理がない」(鈴木氏)
民営化を前にした道路公団では独自にクレジットカード事業を立ち上げる計画もあった。しかし、民営化後の各高速道路会社は、高速道路利用料の大半を日本高速道路保有・債務返済機構への支払いに充てなければならない。自らクレジットカードを発行しても、それがETCによる高速道路料金の支払いがメインの利用では、高速道路会社の収益にはあまりつながらないのだ。
「(民営化後の)高速道路会社のビジネスモデルにとって重要なのは、SA・PAなど道路関連事業の収益力強化です。その中で(独自の)クレジットカード発行というのは、ETC利用との相性は確かにいいのですが、我々が狙うべきSA・PAの収益貢献という点で疑問符が付いた。クレジットカード事業への取り組みは一度頓挫したのです」(鈴木氏)
クレジットカード事業の取り組みが頓挫した一方で、鈴木氏が注目したのが、電子マネー「Edy」などFeliCa型の決済である。
「1年半ほど前にビットワレットの方にお会いして、『これ(FeliCa決済)は少額決済に向いている』と感じました。それで最初は、ビットワレットのEdy導入を主に検討していました」(鈴木氏)
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